見ていて少し遅れた
扇など見てゐて少し遅れたる 石田郷子(『草の王』)
いつも気になるのはちゃんとそこにいるひととかすごくうまくできるひとじゃなくて、いつもそこにいないひとだ。
いつも少しだけ遅れて来る。ちゃんとは来る。でも少しみんなと時間なのか世界なのかがずれている。でもずれていてもしかたないじゃないかという雰囲気も持っている。髪とか笑顔とか、なんかそういう時間が貼りついている。
わたしの星ではこうなんだから、と。
だから正しいのかも、とも思わせる。それにきっと少し遅れた理由もあるのだ。それはとても大事なことで、ぬきさしがたいことだった。
気になる扇があった。気になるひとがいた。気になる木があった。
誰かに会いにいくときに気になって、歌をうたったり、句をよみはじめたりするひとがいる。理由、気になったから。
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