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今走っていること

今走つてゐること夕立来さうなこと  上田信治(『リボン』)

季語はいつも永遠を運んでくるので、俳句の今を阻止しているはずなのに、どうしてここには今が溢れ出しちゃっているんだろう。ずっと不思議だ。

今走っていて、夕立がわっと来そうなことを感じていて、もちろんその感じ方も今で、これからずぶ濡れになるかもしれない緊張感も今で、走って足がもつれて転びそうになってて、なんで俺と思っているのも今で、ここには今しかなくて、夕立のことを考える今しかなくて、未来も過去もない。

今って多分今しかないことなのだ。
俳句が教えてくれたこと。

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