カンヌライオンズ2024、見てみたまとめ
今年(2024年)のカンヌライオンズの作品をいくつか見たので特に印象に残ったものをピックアップして記録していきたいと思います。日経クロストレンドさんの特集をはじめとした記事、参加者のnoteなどを拝見しました。
今回取り上げたものを見直してみると、無意識の偏見や思い込みに対して「それは違うよ!」と教えてくれるようなものが多くて、素敵な企画だなと改めて思いました。
きちんとチェックしはじめたのが昨年からなので、5年分くらい遡って見てみようかな。
WoMen’s Football(Orange)
男性サッカー選手が巧みなプレーを繰り広げて観客を魅了していたところ、「実は女子サッカー選手のプレーでした!」とネタばらしをする女子サッカーの広告。
フェイクという表現ではあるけれど、それによって事実をありのままに見る視点を与えてくれる。
自分たちのサービスが持つ価値を、あえて反対の立場にあるサービスや、顧客にとって馴染みのあるものに置き換えて表現してみるという手法は他のサービスにも応用できそう。
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ROOM FOR EVERYONE(Mastercard)
"Priceless"というワードでお馴染みのMastercard。ウクライナからの難民の居住地を見つけやすくする昨年の企画でもクレジットカードデータを活用してこんなことまでやるのか、と驚いた。
まずは住む処、つぎは仕事。大事なものから順番に取り組んでいて、最初の企画をさらに発展させているのがすごい。
お店の種類によっては成果をあげる相互補完関係があるというビックデータからの発見をもとに、ウクライナ難民による事業とポーランド人による事業が共栄しえることを、出店場所を探すという実利的なアプリを通して伝える。そして事業がうまくいけば、MasterCardとしてもhappyという三方良しを実現している。
データから見えてきた事実を、人々のネガティブな感情や認識を変えていく力を持つものに変えている。
(余談)解説の記事中に「ロシアのウクライナ侵攻によってポーランドに退避したウクライナ難民は約155万人で、これによりポーランドの人口は4%増加した」とあるのですが、155万人というのは沖縄県の人口よりちょっと多いくらい、鳥取県の人口の2.5倍以上という数です。たまたま友だちの薦めで難民関連の本を読んでおり、実際的な問題と人道的な問題がぶつかる大きなイシューに取り組んでいること自体が偉大だと感じました。
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The Code(Dove)
生成AIに入力するプロンプトに工夫を加えて、出てくるアウトプットを変えることで、自社ブランドが大事にしていることを伝えている。
生成AIという新しいテクノロジーのトレンドに乗りつつ、私たちの認識をかたちづくる情報が偏ったものであることに自覚的にさせてくれる。
「美しさってなんだろう?」という大きな問いに、ブランドとしての解を提示しつつ、見る人に対しても問いかけてくる企画。
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Mother Nature(Apple)
「Mother Nature」が人間に扮して会議にあらわれるという企画の発想にも、動画の細部にもユーモアが溢れている。
母なる自然という概念を具現化して、そこに祈るとかではなく、むしろオフィスの会議室に来てもらおう、身近なところに引っ張ってこようという発想がおもしろい。
「Mother Nature」の皮肉で辛辣なツッコミがおもしろくて、何度でも見れちゃう。
環境問題への対応という堅苦しいと思われがちなテーマも、こんなにたのしくレポートできるんだからすごい。
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SPREADBEATS(Spotify)
自分たちのサービスの価値を伝えたい相手がよくみるツールを「メディア(媒体)」として捉えて動画をコーディングして届けるという、実利的でありながら、たのしい企画。
誰に対して、何を届けたいのか、そのために最適な手段は?を考えた結果としてスプレッドシートにたどり着くのは分かるけど、そこで「スプレッドシートに動画を」なんて発想にならない・・これもまた思い込みを超えてきている。
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