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D2Cブランドから学ぶ4つの美容室戦略

D2Cブランドという言葉を1度は聞いたことがあるのではないでしょうか?D2C(Direct to Consumer)とは、自社で企画・製造した商品を自社サイトで直接販売するネット企業のことです。

特徴としては、仲介業者を挟まないことで自社で自由にブランドイメージをコントロール出来、またインターネットが普及したことにより実店舗を持たずに消費者にプロダクトを届けることが出来るようになりました。(現在はD2Cブランドが実店舗を出店するケースも増えています。)近年のD2Cブランドはサブスクリプション(定期購入)の仕組みを取り入れている事例も増えています。

D2Cブランドが存在するカテゴリーは、メガネやアパレル、化粧品、スーツケース、髭剃り、サプリメント、ジュエリー、ベビーカー、調理器具、お菓子といった多岐にわたって存在しています。今後も増えていくと予想されます。

D2Cブランドが増えていく=売上を作れる理由や仕組みがあるということです。

D2Cブランドの追い風

まずはD2Cブランドが増えている時代背景として、上記にも上げたインターネットの普及があります。インターネットが普及したことで実店舗を持たずにプロダクトを販売することが可能になりました。またSNSを活用することで消費者との距離がグッと縮めることが出来るようになりました。

消費者のリテラシーの向上もD2Cブランドが順調な理由のひとつだと考えられます。プロダクトは大量に世の中に存在し、その中から消費者は自分に合ったプロダクトをクチコミやレビューを調べて購入にいきつきます。消費者の目はどんどん厳しくなり、商品への期待度は高くなっています。

また大量のモノを不特定多数に販売する時代から特定のターゲットから選んでもらう時代に変化してきたことが理由として大きいのではないでしょうか。

成功するD2Cブランドの共通点

D2Cブランドについて調べていると成功する共通点が見えてきます。

①ライフスタイル・世界観の定義

D2Cブランドにおいて最も重要な部分になります。D2Cブランドは不特定多数の人に購入してもらう訳ではなく、特定の人に刺さることが重要です。特定の人に届ける為に、WebマーケティングやSNSマーケティングといった手段も必要ですが、まずは世界観にの共感してもらう必要があります。

・Mr.CHEESECAKE
『世界一じゃなく、あなたの人生最高に』
Mr.CHEESECAKEのデザインを手伝っているTAKAYA OHTA氏の記事がまさにMr.CHEESECAKEの世界観を表していると思います。

「あのひとと食べたいな」と考える時間、届くまで「まだかな」と待ち焦がれる時間、そして大切なだれかと食べる時間……そんな「いい時間」を連れてくること。

②商品のクオリティが高い

D2Cブランドがライフスタイルや世界観を重要視していても、消費者が機能性をまったく気にしない訳ではありません。むしろ、機能性に関してはどのブランドで購入しても大差がなく、高品質な商品が出揃った中であえて選ぶなら?という状況で世界観が重要視されています。

③消費者との距離が近い(消費者の意見を反映させた改善)

消費者との距離が近いとは、消費者の意見を直接受け取れる環境にあるということです。消費者からの一つ一つの声を商品開発やサービスに活かすことで、プロダクトやサービスが改善され、消費者に支持されやすくなります

『お菓子ではなくおやつの体験を提供する』というライフスタイルを定義しているsnaq.me。
元々は健康にいいお菓子を定期的に食べたいという消費者がいるか判断がつかない状態でスタートし、その後、どんなお菓子を食べたいかなど消費者の声を吸い上げてフィードバックしていきました。売上の停滞期に消費者へ直接インタビューをし、おやつの体験に価値があることを再度確認し、お菓子の質ではなくおやつの体験にフォーカスしていくことで再び売上を伸ばしています。

④SNSを積極的に活用

D2Cブランドにおいて最重要にしている点はライフスタイル・世界観の定義です。ライフスタイル・世界観を消費者に伝える方法として最も活用されているSNSはInstagramになります。また自社の世界観を一方的に伝えるだけでなく、消費者の想いや要望を吸い上げることも出来ます。

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以上がD2Cブランドの成功している共通点として挙げられます。
もちろん4つ以外にも吸い上げた消費者の声(データ)をどう分析するのかやSNSだけでなくオンドメディア(ホームページ)におけるWEBマーケティングなど細かい部分で必要になってくることは多いと思います。

D2Cから学ぶ4つの美容室戦略

①ライフスタイル・世界観の定義
②商品のクオリティが高い
③消費者との距離が近い(消費者の意見を反映させた改善)
④SNSを積極的に活用

リアルな接客を伴うB2C(business to consumer)の美容室がD2Cブランドの成功している共通点は参考にならないと思いますか?決してそんなことはありません。ここからは美容室がどうD2Cブランドの成功している共通点を取り入れていくかを書いていきたいと思います。

美容室のライフスタイル・世界観の伝え方

美容室が世界観をお客様に伝えるために矛盾があってはなりません。例えば、ケラスターゼというブランドがあります。ケラスターゼは、世界を代表する化粧品メーカーロレアルが技術と知見を集約して作ったヘアケアブランドです。最高級・最高峰といったイメージがあります。最高級・最高峰といった世界観を定義したい美容室は、ケラスターゼのような世界観を持つプロダクトを使用するべきです。

最高級・最高峰といった世界観を持つケラスターゼを取り扱いながら、特徴も何もない安いドライヤーを使うというのは世界観を壊します。リュミエリーナやダイソンといった高機能・高品質のドライヤーも併せて使用することでお客様にも世界観を伝えていくことが出来ます。

またメニューも同じです。ゆったりとしたリラクゼーション出来る世界観を提供したい美容室がクイック(短時間)ヘッドスパメニューを打ち出すことも矛盾しているので世界観を伝えることにはなりません。

美容室業界も一般消費と同じでプロダクトは溢れています。そして、どのメーカーも高い水準の開発に成功しています。しかし、〇〇商品をA美容室に案内して大絶賛されたとしても、同じ〇〇商品がB美容室では酷評されることもあります。A美容室とB美容室のエリアや抱えているお客様の年齢層など様々な要素が判断基準になると思いますが、最終的に好みによる部分が多いと思います。

何が言いたいかというと、プロダクトの良いもの探しはやめましょうということです。先に書いたとおり、どのメーカーも高いレベルで商品開発しています。美容室で使用するプロダクトは何を基準に選ぶべきか。

答えはライフスタイル・世界観を伝えられるプロダクトかどうかです。

商品(美容師)のクオリティが高い

美容室の商品は何でしょうか?美容室の商品は、ウェラやミルボン、ロレアルなどのメーカーが作ったカラー剤やシャンプーではありません。美容室の商品は美容師さんそのものです。

商品のクオリティが高い=美容師さんの技術力が高いです。私が美容業界に入ったばかりの時(15年以上前)はそれこそ技術力の高い美容師さんが売れていました。技術力の高い美容師さんが増えていくと、今度は技術力も高く接客も良い美容師さんが売れ始めます。今では、消費者の方には美容師さんの技術力は高くて接客もちゃんと出来て当たり前と思われています。

D2Cブランドの成功している共通点でもあった「機能性に関してはどのブランドで購入しても大差がなく、高品質な商品が出揃った中であえて選ぶなら?」という大前提は、美容師さんも同じです。

美容師という職業は、職人であり接客業であり、デザイナーであり多面において必要な技術が求められる仕事です。大変ですが、まずは全ての技術が高いクオリティで提供できないと売れる美容師のスタートラインに立つことは出来ないと思います。

消費者との距離が近い=既存客の声を吸い上げる

インターネットの普及により消費者と直接つながることが出来るようになったD2Cブランド。そもそも美容室はリアルな接客を伴う業種なので、D2Cブランドよりも消費者と距離が近いはずです。しかし、多くの美容室が既存客が大事と声を大にして云うものの、現場では距離の遠い不特定多数の新規のお客様へ向けたポータルサイトの活用が多くみられます。

美容室は、消費者との距離が近い=既存のお客様の声が聴くチャンスが多いのです。既存のお客様、特にファンになって頂いたお客様の声を吸い上げて美容室の改善ポイントを探していくべきだと思います。

Instagram投稿は世界観

美容業界もSNSを活用されている方が多くなりました。特に利用されているSNSはInstagramです。以前は、SNSを活用して集客した美容師さんのことを美容業界の王道とは違う売れ方をしたように考える方も多かったです。現在は、美容師さんにとっては欠かせないツールであり、技術のひとつと言えるかもしれません。

美容師さんのInstagramを拝見していると以下の特徴があります。

1.ヘアスタイル
2.ハイトーンの映えるカラー
3.beforeとafterのスタイル
4.商品の広告

技術の差を表現したい写真の投稿が多いです。大切なことなので何度も言いますが、美容師さんの技術は高くて当たり前です。(高くて当たり前と思われています)同業の美容師さんが見ればInstagramの写真からでも上手い下手が分かるのかもしれませんが、消費者が見た場合、一定以上のレベルであればその差を理解できる人は少ないと思います。

D2CブランドがInstagramに投稿しているのは世界観です。直接的にプロダクトを説明しているわけではありません。美容室の世界観が伝わるような写真を投稿していくのも必要だと思います。

またSNSの活用を一方的な投稿で終わらせていませんか?コメントをくれた人に対してのレスポンスはもちろん、フォローしてくれている人の投稿にコメントをするなどのコミュニケーションを続けることでお客様との関係を高めることも出来ます。

まとめ

美容業界に属している方ならご存知の通り、美容室は全国に25万軒以上あります。(実質営業しているのもっと少ないと言われますが)オーバーストア状態の中で消費者から選ばれるようになるには、技術でもなく価格でもないと思います。ましてや、毎月の様に行われるキャンペーンでもありません。

ブランディングが必要です。従来、得意な技術(カットが上手い、ブリーチを使用したカラーが上手いなど)で他店との差別化を図ることが多くみられましたが、技術は上手くて当たり前なので技術でのブランディングは難しくなっています。

D2Cマーケティングでは、ライフスタイル・世界観でのブランディングになります。世界観をお客様に届かせ浸透させるのは短期では難しいですが(ブランディング自体短期施策ではない)、そのライフスタイル・世界観の価値に惹かれたり共感した消費者は、簡単には失客しません。(失客・解約されないような施策もしています)

中長期的なD2Cマーケティングを取り入れた美容室経営が、ブランディングに繋がり、少しでも売上向上のお役に立つきっかけになってくれたら嬉しいです。

今後もお役立ちできるような記事を書きたいと思いますので、宜しくお願い致します。





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