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東洋医学講座 320

脾と腎

脾と腎の拮抗関係について

過食と腎

脾と腎は相剋関係なので、脾が少しでも強いと腎に負担がかかります。ところで、人間の欲望の中でも食欲は一番強く、現代のように食糧が豊富なときは、大部分の人が常時過食状態にあるといてもいいと思います。現代人は、幼児のときからすでに過食攻めであります。ただ幼児のときは陽遁期であり、成長しようとする力が働いているので、多少過食してもすぐには症状としては出ません。しかし、腎を傷つけながら成長しています。

一方、腎の方は過食以外にも、頭を使ったり、冷たいものを常飲したり、性行為をしたり、夜更かししたり、また老化作用などでもどんどん働きが減少されています。

腎には、血液、ホルモン、消化液などの体液コントロールの働きと命源としての働きがあります。前者は左腎、後者は右腎が司ります。過食などの影響は、まず左腎に負担をかけ、それが水剋火で心に行き、また、火剋金・金剋木・木剋土・土剋水と相剋のめぐりを繰り返しながら、次第に命源としての腎を低下していきます。

もちろん、ある一臓が極度に機能低下したら、やはりすぐに命源に響き、その程度が大きければ急死しますが、過食のようなものはじわじわ命源を損なっていきます。

また、常食とは違った変わったものを食べても、それに対する消化液が間に合わず、今まである消化液で済ませようとして腎に負担をかけます。知らない言語で話されて、大脳が混乱するのと同じであります。

太らない療法の一つに、色々なものを食べる療法がありますが、これは今まで述べたことを応用しています。一般的に太るというのは、好きなものを習慣性に過食しているからであります。そういう人でとくに肺と腎の収斂力のない人はすぐに肥大してしまいます。

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