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Gotoキャンペーンが招く医療崩壊。増えた患者を診るのは赤字病院。

コロナ禍厳しい病院経営


東京女子医大の看護師400人が退職、千葉県内の病院労組がストライキ。

採算の合わないコロナ患者受け入れや 、病院受診を控える患者の増加により多くの病院が赤字経営。そのツケを医療従事者が払うかたちとなり 給料やボーナスの削減へとつながっている。

病院は自分たちの商品(医療)の値段を自分たちで決めることができない。
国が決めた全国一律の診療報酬に従って医療を行っている 。なので給料が払えないからといって、診療費を値上げして赤字補填することはできないのだ。

もともと病院は、満床近くベッドが稼働して赤字にならない位の病院経営らしい。 私の勤めている地方病院は3か月近く1つの病棟(50名程度)を空けてコロナ患者に備えている。
その間も、空病棟の看護師は他病棟の手伝いにいったり、コロナ患者に備え待機勤務をしたりしている。
1つの病棟分の収入がなくなっても、病院で一番の割合を占める人件費は削ることができない。 これでは赤字になるのも必然だと思う。

安倍政権が進める病院の再編統合【病床削減】

安倍政権下ではもともと病床数の削減や公的病院の再編統合を進めていた。
私の病院も「再編統合・縮小リスト」の424公的病院の1つである。
このまま国から何の補助もなければ、国はコロナ患者受け入れのため病棟を開け、採算の合わないコロナ診療を強制。その結果、赤字で採算が見込めなくなった病院を統合し病床削減につなげるのでは、という恐怖さえ現実味を帯びてきた。
安倍政権による社会保障の削減は本当にひどいと思う。
医療の合理化を図った結果どうなるか。イタリアのコロナによる死亡率の高さをみれば分かるだろう。

「GoToキャンペーン」延期はなし。全国旅行業協会の会長は自民党の二階氏

コロナの問題に加え、今 大雨に伴う水害で熊本をはじめ九州地方では多くの被害が出ている。
このような状況下で、国がやることが「GO TOキャンペーン」だ。
本当に耳を疑いたくなる。常軌を逸しているといってもいい。
旅行業界を助けて、コロナ診療を行う病院や水害による被害者は見捨てるのだろうか?
九州は観光地も多いが、その観光地が観光どころではないだろう。
このタイミングで出す政策ではない。
そもそも、経済的・精神的にも旅行という気分になれない人も多いだろう。

旅行好きでキャンペーンが楽しみで楽しみで仕方ない、という人もいると思う。しかし、その人が旅行してコロナに感染したら、赤字でひっ迫する病院がその診療をしないといけない。
残念ながら、病院は患者を選ぶことはできない。しっかり対策した人も、旅行で好き放題楽しんだ人も平等に診なければならない。
しかもコロナというお土産を周りの人たちにも持って帰ってくる可能性が高いから厄介だ。
旅行業界に利権のある政治家がいるのだろうが、あまりにもデタラメでゴリ押しすぎると思う。

政府による医療崩壊の推進

Gotoキャンペーンによりさらに感染者増加に歯止めがかからなくなったら、いよいよ医療従事者の 大量離職も本格的になる恐れがある。医療従事者の離職は医療崩壊に直結するのだ。
医療職は国家資格を持っている人が多いので、実際問題 辞めたとしても次の就職先が全くないという事態にはならないだろう。皆が皆、ナイチンゲール精神で働いているわけではないのだ。  人がいなければ医療は成り立たない。
なぜ、病院や水害被害者への直接給付ができずキャンペーンに1兆3500万円を投じるのか。
  「医療体制は整っている」 という国の発言に、赤字病院や医療従事者の我慢の限界が近いことは含まれていないのだろう。

経済を回した結果、感染者が増えそれを赤字病院が診なければならないのなら、国は 医療従事者には相当の危険手当など出すべきだ。
間違っても「国が先導して大規模な人の移動を推し進める」などという愚策は行ってはならない。
GotoキャンペーンがGoto医療崩壊にならないことを願う。



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