さすらいの荒野で見たものは
さすらいの荒野で見たものは
空と大地
ひと気もなく
僕という人間の足音だけが大地にこだまする
「この世界はあなたにやさしいの?」
そう僕に尋ねるのは
寂しがり屋の蝶
ひらひらと羽を動かし
僕の後ろをついてくる
「花のところにお行きなさい」
そう蝶をさとすのは心配性のカマキリ
シュッシュッ シュッシュッとカマを動かし
蝶の後ろをついてくる
「どうか蝶をいじめないで」
そうカマキリにお願いするのは
おせっかいなミミズ
ニョロニョロと体を動かし
カマキリのうしろをついてくる
僕という人間が歩いているだけなのに
世界はゆるやかに変化していく
僕という存在を認めるかのように
世界は少しずつ進んでいく
さすらいの荒野で見たものは
命と愛
ここで生きているものたちがつながる奇跡は
振り返らなければ目にすることができない
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