さすらい人が僕に告げた
さすらい人が僕に告げた
あなたは東に行くといい
さすらい人が僕に告げた
あなたは西に行くといい
一体どういうこと？
さすらい人が僕に告げた
あなたは南に行くといい
さすらい人が僕に告げた
あなたは北に行くといい
結局どういうこと？
わからない
意味がわからない
いい加減だなぁ
さすらい人が言うことなんて
信じちゃだめだ
さすらい人は自由人
自分のことしか考えていないのだから
さすらい人の言葉なんて
気にしてはいけないのだから
僕の居場所は自分で決めよう
わからないなんて言っていないで
僕の居場所は僕が決めよう
さすらい人がいなくなった
さすらい人はどこに行った？
さすらい人はさすらうために
この地から出て行った
さすらい人よ
さようなら
どこにも行けない僕を笑ってくれ
さすらい人よ
さようなら
どこにも行かない僕を叱ってくれ
さすらい人は
またいつかここに戻ってくるのだろうか
さすらい人がいなくなった日
僕は天を見上げた
そして
さすらい人の幸運を祈った
歩く速さで雲が流れていく
この地で生きていく僕もまた
さすらい人なのだ
そう思った瞬間
さすらい人の言葉を思い出し
僕は笑った
次にさすらい人に会えたなら
奴の話を
もう一度だけ真剣に聞こう
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