こつこつハンドレビュー その4 ターンチェックからのどでかオールイン

今日のハンド

コメント 2019-11-20 022759

SB vs MPの3bet potで、ターンチェックアラウンドからのリバーでダブルポット以上のどでかいオールインを受けたハンドを取り上げます。
ツイッターに投稿したところ、複数の方からコメントをいただきました。おおまかにいって、
- Heroはターンはプロテクション・バリューベットしたほうがいいんじゃないか
- リバーのこのサイズは100NLzでもバリューヘビーなのではないか(でもうまいレギュラーなのでそうでもないかも?)
といった意見が多いようです。

テーブル外での検討

プリフロップ: 4b-call/foldの選択肢はあると思います。

フロップ: 小さいCBに対してバリュー・プロテクションのレイズの選択肢はありえると思います。ただ、こういった状況でOOPがレンジベット気味に小さいCBをしてきているときには、IP側はほとんどレイズレンジを作らなくてもEVロスがないことが多く、コールのみでディフェンスする戦略でも間違いないと思われます。

コメント 2019-11-20 022759 (2)

ターン: 基本的にはラグですが、レンジの中で77が占める割合はIPのほうが大きそうです。(OOPの77はプロフロップですべて3bするわけではない&IPのごみハンドはフロップで減っているため)

大きく両者のエクイティを変えるカードではないので、OOPはナッツ級ハンドであるオーバーペアをたくさん持っていることを活かしてポラライズしたダブルバレルをすることができそうです。
ナッツ級ハンドのうちAA, 99、ナッツフラッシュドローなどはチェックレイズ・チェックコールに回ることもありそうです。

一部チェックレイズレンジはあるとはいえ、OOP側のチェックレンジはAK, AQ, ミドルポケット等のマージナルなハンドと有象無象のゴミが多そうです。
一方のIPはフロップをコールしたことでゴミは減っている、かつナッツは減っていないので、レンジ的なアドバンテージがある状態なので、広めのレンジでバリュー・ブラフ・プロテクションのベットをしたい場面に見えます。
IPの持ちうるハンドそれぞれのベットする主要なモチベーションを考えると、
バリュー: A2s, 77, 99, TT+, A9s
プロテクション: 88, T9s, 98s, 87s, As7s, 66-55
セミブラフ: As[6-3]s, Ks[Q-T]s, Q[J-T]s, JsTs
ピュアブラフ: A[6-3]s (♣or♡)
といった感じでしょうか。こう考えると、やはりベットに回したいハンドが多く、小さく広くBMCBする戦略が正しそうな気がしてきます。

問題は、JJや99といったレンジのなかでかなり強い部分をトラップ気味にチェックする必要性があるか、ということですが、IPであり相手のアグレッションにさらされる機会があと1回しかないことを考えると、あまりチェックレンジの保護を考えずにベットしたほうがよかったかなーという気持ちに傾いています。

コメント 2019-11-20 022759 (3)

リバー: こう考えるとIP側のチェックバックレンジは相当弱く、ドローも完成しなかったので、ベットしなかったマージナルなところ (A-high, ミドル-ローポケット?) 、ミスドロー、ゴミ、ちょっとだけナッツ級スロープレーといった構成になっています。対して、OOPはチェックレイズに回そうとしためちゃつよハンド、チェックコールしたかったマージナルなハンド、あきらめたごみという感じになりそうです。
OOPとしては、それらのハンドを全体的に含めたマージドなレンジで小さめのベットをする戦略と、めちゃつよハンドとごみでポラライズしたベットをする戦略の両方がありえそうです。

今回のハンドではOOPはポラーな戦略(ブラフがちゃんと入っていたとすれば、ですが)を選んできましたが、その自然な内訳はどんな感じになりそうでしょうか:
バリュー: AA, KK, QQ?, 99, A2s? (?はターンでほとんどベットしそうだよな~という気持ちです)
ブラフ:  KQs/o?, KJs, KTs, QJs (ターンでいったんあきらめそうなのは特にcc/hhのコンボ、BDFDをブロックしているのでターンでブラフに使いにくい

バリューは?付きをx0.5で考えると19コンボ、ブラフは♠なしコンボだけとすれば3+3+3=9.  KQを入れると18.
pot oddsが1.44:1でおおむねバリューの2/3くらいブラフがあればブレークイーブンなわけですが、こうやって数えてもターンでベットに回るバリューコンボもあるわけであまりわからないですね……。

いずれにせよ全くブラフがないわけではないと思います。あとは相手のプレイヤーがダブルポット以上のデカブラフをする胆力があるかという純粋に人読み的な話になりますね。

piosolverによる分析

フロップ

コメント 2019-11-20 022759 (2)

オーバーペアが強いボードということで、均衡戦略的にはOOPは大きめのサイズ (3回でオールインになるハーフポット強) だけを使うようです。
おそらくOOPのプレイヤーは小さいサイズだけを使う簡易戦略を取っているため、OOPの選択肢を33%だけに限定して再度計算しました (下画像) 。均衡戦略とのEV差はレンジ全体で0.23bb = 23bb/100とそれなりに大きいようなので、できればこうしたスポットでは単純な小さいレンジベット以外ではなく多少ポラーなベットレンジを作るのがよいということでしょう。

ここからは、OOPがこの簡易戦略を使ったと仮定して進めます。
このサイズでもなお、バックドアのない弱いAXsでベットするのはかなりマイナスEVになるようなので、ご注意ください。

コメント 2019-11-21 001021

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