忙しい夜勤でも

状態の悪い患者さんが多く相変わらず病棟内を走り回る夜勤だった。サッカーの試合のように局面が変わる。ボールをトラップしてパスを出しゲームを作るボランチのように仕事をする。いいパスを出せた時は最高に心地よい。やっと記録ができると思って椅子に座るとナースコールが鳴った。私は急いでナースコールを取った。



その患者さんは発熱で入院した患者さんでもう少しで退院の患者さんだった。筋力低下があり転倒するリスクが高いのでトイレに行く時は車椅子で誘導する必要があった。私はなるべく笑顔を作って部屋に入り対応した。トイレ誘導をしている時に患者さんから「忙しいのにごめんね」と言った。私はいつでも呼んでください、と声をかける。お腹の空いている腹がぐぅと鳴る。



誰かの手を借りないとトイレにいけない、トイレに行くたびに迷惑かけている気持ちになる。その患者さんは本当はトイレに行きたいけれど何回も呼ぶのが悪いから我慢して我慢できなくなる少し前に看護師を呼ぶとあとから教えてくれた。私はその言葉について夜中の病棟でしばらく考えていた。



朝になった。状態の悪い患者さんの血圧は落ち着いておりこのまま持つだろう。7時頃に患者さんの部屋を訪室した。あの患者さんがそろそろ起きる時間である。「トイレ行きますか?」と声をかけると嬉しそうな顔をする患者さんの顔が見れた。いい朝だった。

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