見出し画像

彼我見聞録-まめぽっと(下)

前回に引き続き、1993年から今の場所で自家焙煎の店「まめぽっと」を営むオーナー・古屋さんへのインタビューをお届けします。

画像1

中村「私は普段コーヒーメーカーを利用しているのですが、自分でコーヒーを淹れることの良さについて教えてください。自分で淹れると美味しく感じるのでしょうか?」

古屋さん(以下敬称略)「 “自分の手が入ることで味が変わる”という活動そのものを、面白いと感じているのだと思います。どういう風に挽いて、どういう風に淹れるかによって味が変わってくるんです。そうすると、『思った通りの味だった』とか『イメージと違った』とかっていうことが出てくるんです。その時の嬉しさとか、ちょっとがっかりした感じとか、いろんなものをごちゃ混ぜにして楽しんでもらえればと思っています」

芹川「そうですね。例えば私の場合、フレンチプレスを使って淹れることが多いのですが、その時の気分によって抽出時間を調整しています。カスタマイズできるってすごく魅力的です」

古屋「抽出だけでなく、豆を選ぶ際にも同じことが言えますね。お客様のイメージした味と、実際の感じ方が違うことはよくあります。香りは買う前にわかるけど、味は飲んでみないとわからない。特に酸味や苦味など焙煎度合いは好みが大きく分かれるので難しいです」

中村「なるほど。しかし、これだけたくさんの豆があると、どれを選んでいいか迷ってしまいます。お客さんは普段どのように選ばれているんですか?」

画像2

古屋「一つずつ順番に試していくという方もいれば、本で勉強して予め選んでくる方もいます。はじめのうちは、選びづらいのは当たり前です。しかし、酸味が苦手だとか、甘味が好きだとか、そういう情報があれば選択肢は絞られくるので、お気軽にご相談いただきたいです」

中村「やはり相談してみるのが一番ですね」

古屋「そうですね。ふらっと入って、その日の気分で適当に選んだ豆を少しだけ買っていただければ嬉しいです。飲む前から『これはちょっと…』と敬遠したり、『これが好き!』と偏ってしまうのは、勿体無いので…。うちは喫茶や試飲をやっていないこともあって、お求めやすい価格になっているので、味見のつもりでいろんな豆を試していただきたいです」

コーヒーは手間のかかる飲み物だ。遠い国から豆を運んできて、焼いて、焦がして、砕いて、お湯を注ぎ、濾過してからやっと飲める。「まめぽっと」を訪れる人たちは、そんな手間を “面白い” と捉える人たちである。
古屋さんが焙煎した豆を選んだり、その豆でコーヒーを淹れたりする度に、彼らはイメージとの距離を知る。それに喜んだり落胆したりして、また「まめぽっと」を訪れるという生活を繰り返している。彼らもまた、古屋さんに似た “ゆるさ” を纏っているのかもしれない。(了)

画像3

店舗情報

自家焙煎珈琲 まめぽっと
・住所:つくば市春日3丁目2-6
・HP: mamepot.com
・オーナーブログ:mamepot.tsukuba.ch
・電話番号:029-851-9161(出られないこともあるそうです)
・営業時間:10:00~18:00
・定休日:木曜日(第一木曜日を除く)
 ※最新情報はホームページなどを参照してみてくださいね!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?