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悲しみは、雲のようなもの

 睡眠はやすらぎを与えてくれます。でも長い人生には、「このまま二度と目が覚めなければいいのに……」と思うようなやりきれない日もあるでしょう。

 もし今、あなたが悲しみのどん底にいたら、なにも考えなくていいのです。鉛色の心にはマイナスの考えしか浮かばないから。

 そんなときは、大空を流れていく雲を、飽きるまでボーッとながめて過ごしませんか。雲はひとときもじっとしていません。自由自在に形を変えて、出たり入ったりしながら遠くの空へ運ばれていきます。
 
 その雲と同じように、心もどんどん移り変わっていくもの。そう考えると、あなたは自分の感情を早回しで見ているような気がしてくるかもしれませんね。
 
 そう、悲しみは今だけのものです。いつまでも続く苦しみも、憂うつもありません。すべては流れ去っていく雲のようなものなのです。

 今夜はなにもかも忘れて、大空に心をあずけてぐっすり眠りましょう。
 明日目を覚ましたら、今ある悲しみはきっと薄らいでいるから。


  ★ 著書『みんな、ひとりぼっちじゃないんだよ』(幻冬舎文庫)より★

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