【お悩み相談】都会で仕事することって意味あるの?

■都会で仕事することって意味あるの?デザイナー志望です。私は現在、ある地方都市に住んでいます。都会に出て仕事をすることに意味はありますか? また、選ぶなら「就業時間がゆるいけど、クリエイティブじゃない会社」と、「残業が多いけどクリエイティブな会社」、どちらがよいでしょう?

あなたがプロのデザイナーとして食っていきたいのなら、都会に出るのは大アリです。どんなクリエイティブでも、母数(ヒト)が多い所、カネが多い場所で通用しなければ、ただの独りよがりな「作品」で止まってしまい、「商品」にはなりません。いまはどこでも仕事ができる時代ですが、一度でいいので都会で、体力があって恥をかいても立ち直る気力のある若いうちに勝負すべきです。

また、ヒトとカネが多い=仕事をもらえるチャンスが多いです。都会にいるうちに、いろんな人から仕事をもらえるコネクションを作って、好きな街に刺激を持って帰ったり、ゆっくりと生活のバランスを取りながら暮らすのはカッコイイと思います。だけど、一度もマスに向かって勝負していないのに、都会は終わったみたいな発言をするのはダサいなぁと思う。「この街が好きだからやってます」ならいいんだけど、「この街にいないヤツらはアホ」みたいな言われ方をされるとね。なんでそっちの価値観を押しつけられなきゃいけないんだよって。

クリエイターやアーティストのすべての原動力は「コンプレックス(劣等感)」だと思っています。これは、アウェイで恥をかく事でしか伸びないです。「鉄は熱いうちに打て」という諺があるけれど、鉄が熱いのは若いうちだけで、オジサン・オバサンになってからだと叩いても折れちゃうし、アウェイに行く勇気がなくなってしまいます。ヒトが多い都会は、それだけアウェイがたくさんあります。

また、誰かに仕事をお願いするときに「空気の共有ができている人」という大切な条件があります。才能があるけど遠くの人よりも、そこそこの才能で近くにいる人にお願いしたくなるのは、コネとか談合とか言われるかもだけど、当然の人間心理です。この空気の部分だけはそばにいないと感じられないので、やっぱりたくさんの人と触れあっておくのは大切だと思いますよ。誰とも会わずに隠居みたいに製作をするなら別だけど、プロのデザイナーとして食っていきたいのなら、ね。

会社を選ぶ基準は、前者も後者もどっこいどっこいだなぁ。得られるカネというモノサシ次第じゃないでしょうか?カネは我慢代でしかないです。カネは愛です。会社がどれだけ君を愛しているかが具現化されたものです。

仕事がハードでも、カネがたくさんもらえるなら我慢できると思うし、楽しければカネをそんなもらえなくてもまぁ別にいいよね(俺はそうだけど、君はどう?)。全てのカネは我慢代なのです。ワリがあうか?あわないか?それだけです。ただし、時間はカネで節約する事はできても(未来の時間を買うことはできても)、時間を巻き戻すことだけはできません。そこを重点に置いて考えてみましょう。


※これは2016年に書いた「人生に主導権を取り戻す90分の授業」(三才ブックス)を2020年版にリミックスしたものです。


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