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【質問箱へのお返事(3)】「論理的で分かりやすい文章」を書くときに心掛けていること

質問箱に、訊く相手を間違えているであろう投稿をお寄せいただいたので、敢えて「畑違い」の素人ながら答えてみたいと思います。

1つ1つの文章を明確に

まず、意識していることは「違和感なく英訳できる」ことです。別に日本語で文章を書きながら頭の中で英訳しているわけではありませんが、主語・述語の対応とか文の接続といった要素が明確になるように意識しています。

誤解を恐れずに言えば、「日本語で分かりにくい文は英語でも分かりにくい」上に、その逆も然りですから、「別の言語に置き換えてみる」のは個別の文を論理的に仕上げるときに便利な方法だと思います。

仮に外国語が得意でないなら、日本語で「パラフレーズ(語句の置き換え)」をしてみるのも良いと思います。例えば、「しかし」を「でも」に置き換えてみましょう。別の語句に置き換えてみると、意味が通るかを検証できます。

同じ語句、漢字、表現を繰り返さない

そして、このパラフレーズは文章の検証のみならず、豊かな文章を書くときにも重要です。小説や詩ならなおさらですが、記事や論文でも、コピー&ペーストしたかのように同じ文言を繰り返しているのは単に読んでいて退屈なだけでなく、そのような文章は説得力を欠いてしまいます。何より、同じ内容が繰り返されていると、何であれ読む気が失せます。また、同じ文頭や文末の文を繰り返すのも、韻を踏んでいるとかの事情がなければ避けるべきでしょう。

しかし、もちろん固有名詞はパラフレーズできません。「東京」を「江戸」と言い換えたら、思いっきり意味が変わってしまいますよね。こればかりは仕方ありません。

また、例えば行政文書や法令では使える文言が決まっています。豊かな語句は表現の幅を広げてくれますが、同時に解釈の幅も意図せず広がってしまいかねません。したがって、「数式」のように、誰が読んでも同じ意味として理解できるように、「記号」の如く同じ語句や表現が使われます。ただ、我々が日常生活で行政文書や法令を書くことはありません。せいぜい契約書くらいでしょうが、この手の文書を書くなら弁護士や司法書士に依頼しましょう。

表記揺れの排除

このパラフレーズと矛盾するように感じるかもしれませんが、「表記揺れ」のないように注意する必要もあります。表記揺れとは、例えば同じ文章で「こと」と「事」を併用してしまうとか、「片仮名」と「カタカナ」が同居してしまう事態を指します。

敬語にも注意

「当社」と「弊社」はパラフレーズではありません。当社は単に「私(たち)の会社」を表す丁寧語です。一方で、弊社は「謙譲語」であり、へりくだった意味を持ちます。

他にも「御社」と「貴社」の使い分けも気をつけましょう。面接や打ち合わせのような席での「話し言葉」なら前者で、メールや書類のような「書き言葉」なら後者です。

さらに、相手先の企業によって「御社」や「貴社」ではない場合もあります。銀行だと「御行」や「貴行」ですが、信託銀行はかつて「信託会社」として呼ばれていた経緯から、一般企業と同じく「御社」と「貴社」と呼ばれます。

「てにをは」に注意

「てにをは」とは日本語に特有の「助詞」のことです。この辺りは小中学校の「国語」の教科書を参照してください。

私が関わっている団体のSNSやWebサイトの投稿でも、たまにこの助詞を正しく使えていない事例を目にします。そのたびに部内で修正依頼や注意喚起を出しています。それでも、この助詞を正しく使えていない事例が続いているので、この辺りは本を読むとかトライ&エラーを繰り返して、感覚を研ぎ澄ましていくほかないのかもしれません。

文同士に関係性を持たせる

そしてクオリティが高まった一つ一つの文を適切に組み合わせていくことで、文章が構成されていきます。ただし、この文章も雑に組み合わせて良いものではありません。

文と文の関係性を考えながら、文章全体の「構造」を丁寧に組み上げていく必要があります。この構造は個人的には「ツリー構造」を多用しますが、この記事では多用していません。

そうは言っても、私も間違える

ただし、これだけ延々と解説してきたものの、私もライティングのプロフェッショナルではありません。SNSやnoteを趣味で更新しているに過ぎません。

それでも、「読み書き」を愚直に繰り返す訓練がライティング能力を向上させることは間違いないと思います。ただ、これは吸収力のある人物しか使えないという欠点も持ち合わせています。

そこで、もし「書く技術」を向上させたいなら、この本をお勧めしておきたいと思います。

本を買うほどではなく、noteで読みたいなら、この安田 峰俊さんの記事も参考になりますので、ぜひご紹介しておきたいと思います。

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