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後悔の先にあるものとは? 小説「異物」の中で主人公が辿り着いた答え

■後悔はない……それ本当?

後悔とは、で検索すると、

「自分のしてしまったことを、あとになって失敗であったとくやむこと。」

と出てきます。
この意味は、ほとんどの人に一致するものかと思いますが、じゃあ後悔してることはありますか? と聞かれると、

「してない」

あるいは

「後悔はしない主義」

などという答えを返す人が一定数います。
本当に後悔していない人、当時は後悔したけど今はしていないという人、そう思い込みたいだけの人、その中身はいろいろだと思いますが、後悔しない、していないという人は、してることを認めて、

「ああしておけばよかった……」

となるのが嫌なのかな、と思ったりもしますが、後悔ってしてもいいと、僕は思います。むしろ後悔は、使うものではないかと。

今回は、僕の執筆作品である「異物」という物語を参照しながら、後悔の気持ちとその先にあるものについて、お話します。


■パラレルワールドに思いを馳せる

「異物」は、主人公の明神尊(みょうじん たける)が、ある日突然パラレルワールドに行ってしまい、自分の世界に戻るために奮闘する物語ですが、明神は「自分の世界に戻る」という過程の中で、様々なことを考え、思い出します。そして、その最大のものが、後悔です。

明神には、忘れられない後悔があります。
本人は諦めてるつもりだし、どうしようもないことだと思って忘れようとしてますが、忘れようとしてるってことはつまり、意識しちゃってるということです。

そして、後悔はどんなときに生まれてくるかといえば、後悔が生まれた出来事を思い出して、別の選択をした先にある「現在」を想像したときです。
後悔の出来事を分岐点として、別のストーリーを頭の中に描いたときに、後悔が生まれる。つまり、脳内でパラレルワールドを生成して、始まり(分岐点)~理想(と考えられる)の現在を想像したときに、後悔が生まれてくるわけですね。

でもそれって、無意識にやっちゃいません?(ちなみに僕は後悔いっぱいあります)
どうしようもないことは分かっていても、ついやってしまう。

最悪なのは、あのときこうしておけばよかった→自分はなんてダメなんだ→なんでうまくいかないんだろう→あれ(後悔)があるからだ→自分はダメな人間だな→あのときこうしておけば……というふうに、反芻思考という名の地獄のループが始まってしまうこと。

後悔し続けることは、後悔の瞬間に留まり続けることです。つまり、過去に囚われ続けている状態。それでは、前に進めるはずもありません。後悔していない、しないようにしていると思っていても、後悔をそのままにしているなら、それは囚われているのと同じです。

明神も、後悔したってしかたない、もうどうしようもないことだと考えていますが、それはそう思い込もうとしてるだけで、向き合ったわけではないんですね。

その結果として彼は、パラレルワールドに入り込んでしまいました。
誰も自分を知らない世界に……
しかし明神は、絶望的な状況の中で後悔と向き合わざるを得なくなり、そこで気づくのです。

■後悔に導かれて辿り着いた場所

明神にとって、その後悔と向き合うことは、なんとしても避けたいことでした。
思い出せば、自分の不甲斐なさ、選ぶべきだった選択の先にあった結果を直視しなければならず、それは耐え難いことだから。

僕らも、そういう後悔の一つや二つ、ありますよね。
でも、わざわざそこと向き合おうとは、中々考えません。向き合わざるを得ない状況になれば別ですが、そこまでの状況にもあまり遭遇することもない。

明神の場合は、パラレルワールドに迷い込み、このままでは自分の存在が消えてしまうという状況の中で、向き合うしかなく、そしてその先で、彼は本当に大切なことに気づきます。

後悔と向き合い、絶望したその先で、明神が気づいたこと……
それは、ぜひ本編で確かめてください。

■後悔の先にあるもの

誰にでも、忘れられない後悔があります。
どうすればよかったか、今なら分かるけど、僕ら人間は過去へ戻ることはできないので、起こったことを変えることはできません。

思い出すと辛いし、心の奥のほうに少し痛みが残っていても、我慢できなくはない。日々の忙しさがあれば、思い出すこともほとんどない……
でも本当は、チクチクと痛む、その原因である小さなトゲを抜いて、スッキリしたいと、そう思っているのではないでしょうか。

トゲを抜くことは後悔と向き合うということで、小さなトゲのわりには、抜こうとすると激痛を伴います。でも、その痛みなくして後悔を今に活かすことはできない。

異物」の中で、明神が体験すること、辿り着いた場所から、みなさんが得られるものがあると思います。
忘れられない後悔を抱えたまま、人生の終焉を迎えるのは避けたい……と思ったら、「異物」の世界を覗いてみてください。

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