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無料塾の挑戦|第6章-1|皐月秀起

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【第6章:無料塾のつくり方~自分で始めるには~】

これまで、無料塾を立ち上げた経緯や活動の様子を書いてきました。読んでいただいたかたの中で、ひょっとしたら「私も無料塾をやってみたい」「私もできるかも...」と思われたかたがいらっしゃるかもしれません。

そこで、「無料塾のつくり方」を書いてみたいと思います。

第3章で少し触れましたが、無料塾を運営するのに必要な要素が三つあります。一つ目は、「場所」。勉強する場所・スペースです。二つ目は、「講師」。実際に子どもたちに勉強を教える人です。三つ目は、「生徒」。いくら場所があって、講師がいても、教えてもらいたいと思っている子どもたちがいないと無料塾は成り立ちません。

①場所

まず、「場所」ですが、子どもたちが落ち着いて勉強するにはある程度の広さが欲しいので、市や地域が管理している公共のスペースを借ります。私たちも、兵庫県宝塚市の男女共同参画センターの学習室を2時間1400円で借りています。営利・商業目的の活動ではないので、施設によっては使用料を減免してくれるところもあると聞きます。

どうしても費用がかかってしまうので、それを節約するために、自分の家(リビングなど)を開放するかたがいます。自宅でできれば、明日からでもスタートできますし、水道光熱費はかかるとはいえ、実質無料に近いのはメリットが大きいです。しかし、ホームページやチラシなどで生徒募集や講師募集の告知をする時に、自宅の住所を外部にさらすことになるので、個人的にはあまりおすすめしません。

自宅以外で場所を見つけたい、でも費用はかからないようにしたい場合のおすすめは、「無料で空きスペースを貸してくれる事業者さんを探す」ことです。私たちが子どもたちに勉強を教えるのは、平日の夕方から夜にかけてか、週末になります。その時間帯は、事業者さんは休み、あるいはスペースを使っていない場合が多いです。

「ボランティアで無料塾をやりたいのです」と説明したら、活動の意義を理解してくださり、無料で使わせてくださるかもしれません。これらの情報はネットなどではオープンになっていないので、「(例えば)銀行さんに隣接している、この集会スペースを使わせてもらえないかな...」と、自分の足で探す必要はありますが、やってみる値打ちはあります。

②講師

次に、実際に子どもたちに勉強を教える「講師(先生)」ですが、これは心配ありません。なぜなら、まず「自分」がいるからです(笑)。まずは、自分が講師になって教えてみましょう。3人くらいまでなら、何とか1人で勉強を見ることができます。自分の得意・不得意に応じて、対象を小学生にするか中学生にするかを考えたらいいと思います。

ただ、無料塾を長く続けていくとなったら、講師が自分1人ではなかなかきついです。最初は意気揚々に無料塾を始めたものの、当初のモチベーションが保てず、3か月もたずにやめてしまったケースをたくさん聞きます。自分1人では生徒さんを増やすことができませんし、講師の仲間がいてこそ、いろいろ相談したり、励まし合ったりしながら、続けることができます。「思い立ったら吉日」と、すぐ自分1人で始めるのではなく、一緒に講師を手伝ってくれる仲間が見つかってから始めることをおすすめします。

生徒さんの増加に対応するために、自分の知り合い以外から幅広く募集する場合は、ホームページを作成し、市などの広報紙や地元に配布される無料タウン誌などに掲載をお願いし、地道に認知度をはかっていくことになります。ツイッターやフェイスブック、インスタグラムなどSNSを利用し、生徒のプライバシーなどに配慮しながら、学習の様子を公開していくことも効果があります。

もし、活動場所の近くに大学があれば、大学生に講師ボランティアをお願いするのも一つの方法です。ボランティアの意識の高い大学生は多いので、大きな力になってくれるはずです。講師募集のチラシを配布するのも手ですが、印刷費用や配布の手間の割に効果は大きくありません。大学のキャンパス内にボランティアを紹介してくれるような場所があれば、そこを訪ねて講師募集のお願いをするのはとても効果的です。

③生徒

三つの要素の最後になる「生徒」ですが、「無料なんだから、すぐ集まる」と思っていた私の考えが甘かったことはすでに書きました(笑)。場所は元々あり、講師は声を掛けたら3人がすぐ手を挙げてくれました。一番簡単だと思っていた生徒さんがなかなか決まりませんでした。近隣の小中学校にお邪魔し、PTAさんの会合で説明をさせていただいた時に聞いてくださっていたお母さんのお子さん(姉妹)、あとは私の知り合いのお母さんの子ども(姉妹)の4人が何とか揃ったというスタートでした。

小中学校に働きかけるのはハードルが高く、生徒募集のビラを配っても紙飛行機になる確率大です。講師の募集と同じく、ホームページを作成し、広報誌やタウン誌などに掲載をお願いするなどして、地道に問い合わせを待つしかありません。私たちも1月末に生徒さん4人からスタートした後、半年間で2人しか増えませんでした。ですが、半年くらい経ってくると、現生徒さんの紹介や口コミなどで、地域内で徐々に知られるようになってきます。

私たちも最初は「何で生徒さんが増えないんだろう...」と不思議に思っていましたが、生徒さんとしっかり向き合い、講師間でも教え方や接し方を話し合ったり、勉強会をしたりしながら、無料塾を運営していく経験やノウハウをこの半年の間に蓄積できたので、生徒数が急増してあたふたするよりもよかったと、今になると思えます。

逆に、生徒数が10人を超えてくると、今度は講師の数が足りなくなり、教室のスペースも手狭になってくるなど、別の課題が出てきます。ひょっとしたら、生徒さんの受け入れを一時的に制限しないといけなくなるかもしれません。その時までは、じっくりと無料塾の運営に集中してください。

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