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「就活ルール廃止」で何が変わる?

2018年10月10日(水)20:00~ 近未来カレッジVol.34の第2部で、「『就活ルール廃止』で何が変わる?」という題目で、解説しました。

メルマガなどを大いに参考にさせて頂いている、人事コンサルタントの城繁幸さんの考えを引用させて頂きながら、自分の考えをミックスした内容にしています。

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就活ルール(以下ルール)とは?

日本経済団体連合会(以下経団連)が、採用活動(学生からすると就職活動)について、主に時期を揃えることによって、大学生の勉学にできるだけ影響しないようにしようと、加盟企業に対して定めた取り決めだ。

具体的には、3/1から企業説明会を開始、6/1から採用面接を開始、10/1に内定式とし、インターンと採用を切り離すという、採用時期以外の取り決めもある。

これらを廃止することを経団連は正式に決めた。2021年春入社からとのことなので、現3回生まではこれまで通り、現2回生以降が影響を受けることになる。

経団連とは?

経団連(以下、分かりやすく「大企業」)は、日本を代表するような大企業1400社弱が加盟している団体。職員も200名以上いて、団体というよりひとつの企業のようだ。東証1部上場企業が約2000社強なので、かなりの影響力を持った団体であるというのが分かる。

なぜ就活ルールを廃止するの?

就活ルール、特に採用時期については、前倒ししたり後ろにずらしたりと、これまで何度も変更されてきた。

なので、普通の人は「今までの延長線上で、時期を動かすだけでは?」と思うかもしれないが、過去の見直しとは全く違う。「就活ルールの変更」ではなく「就活ルールの廃止」。なくなるということだ。企業みんなでルールを守って、よーいどんで始めましょう!ではなく、自由競争になる。

じゃあ、「なぜ就活ルールを廃止するのか?」。

理由は「新興企業・ベンチャー・外資系企業など、経団連非加盟企業がルールを守らず、早い時期から採用活動をし、先に学生を獲ってしまうから」だ。

まあ彼らからすると、経団連には加盟していないのでルールを守る義務はないが、日本を代表する大企業たちは、いい学生が入ってこないので、大いに困っているというわけだ。

その結果、今では面接解禁日を守らない企業が6割を超えている。おそらく、経団連加盟企業でも守っていない企業はあるだろう。

これって、今に始まったことなの?

昔はルールをみんな守っていたが、最近になって守らなくなったの?とは思わないだろうか?。

実は、昔から形態は違えど、一定のルールはあった。そんな中、守っている企業と守っていない企業、両方あった。ルールを守らない企業は昔からあった。今に始まったことではない、ということだ。

これまで大企業は、黙認してきたということ。なぜ黙認できたのか?。これまでは、新興企業などから先に内定を貰っていても、それらを断って最後は大企業にみんな来ていたからだ。だから先に学生に唾をつけられていても、放っておけた。

それが、10年前くらいから風向きが変わってた。東大生の人気就職は昔なら金融機関や総合商社でしたが、DeNA・GREE・サイバーエージェントが新御三家になった。みな、経団連非加盟企業だ。

今では、(一般的には)無名のベンチャー企業にいく、あるいは海外の企業にいく。

ファーストリテーリング(ユニクロ)などは1回生から内定を出し、アルバイトをさせながら経験を積ませ、入社と同時に店長をさせている。海外インターンもある。

このような惨状なので、これからは新興企業や外資系企業から、ガチンコで優秀な学生を奪いにかかる。中西経団連会長の「就活ルール廃止」は、新興企業などに襲い掛かる「号砲」ともいえる。

それでも大企業に勝ち目はない

じゃあ、就活ルールを廃止して、採用時期を新興企業並みに前倒しをしたら、昔みたいに優秀な学生層が獲れるか?。

残念ながら、大企業に勝ち目はない。

なぜか。

「例外のない一律初任給、配属先も入社してみないと分からない、全国転勤もある、意味のない残業もある、頑張ったら出世できるかも(知らんけど)」という終身雇用・年功序列カルチャーが、優秀層にはもう絶望的に不人気だからだ。

日本の大企業は、特に終身雇用・年功序列カルチャーが骨の髄までしみ込んでいる。これが変わらない限り、新興企業や外資系と競争しても、優秀層は見向きもしない。

例えば大企業も、事業部別に数週間(1日なんて論外)放り込んでインターンをさせて、配属約束付きの内定を出したり、インターンの評価次第では初任給+100万円という特別待遇で内定を出すくらいのことができれば少しは変わるかもしれないが、今いる社員とのバランスなどを考えると、簡単にできることではない。

就活は長期化しない

「就活ルール廃止」は、これまでの「新卒一括採用」の終焉も意味する。

これらはどう変わっていくのか?。

城さんは「就活の長期化しないだろう」と書いている。

就活ルールが廃止になり、就活が前倒しになると、3回生あるいはそれよりも前から就活をしないといけないとなると、今までの「(4回生直前の)3/1からスタート」と比べると、就活の長期化が心配される。

ですが、日本の大学生全体では、あまり影響がない。

まずは、採用者全員をインターンをさせ、待遇などを企業が個別対応することは物理的に無理だ。

それに単位をとれている学生は、3回生になると授業数が減るケースが多いので、就活の長期化・前倒し化による学業への悪影響はそれほど心配することはないだろう。

それに、あまり早い時期から内定を出すと、企業も学生に逃げられるリスクがあり、学生も以降就活する機会を失うリスクもあるので、先述のファーストリテーリングなどはレアケースとして、1・2回生から就活がメインにないだろうと予想する。

採用の二極化が進む

今回のレポートの肝の部分だ。

「就活の長期化ではなく、二極が進む」と城さんは書かれています。

これがなかなかの衝撃です。特に、学生にとっては。

先述の通り、採用する側の企業のキャパの問題で、学生全員を個別対応することは無理。

というより、キャパ以前に全員する個別対応・特別待遇する気はない。

新興企業や外資系から、大企業が奪いたいのは「優秀な学生」だ。

幹部候補生や専門性の高い職種などに合致しそうな学生を、2・3年次からインターンをみっちりやってもらい、配属約束付きはもちろん、初任給+αも約束し、内定を与える。

もうひとつは、従来通りの4回生になってからの一括採用。これがなくなることはなさそう。経団連はルール廃止を決めましたが、政府と大学が共同で目安となるようなルールを作るようだ。

「早期内定組(=優秀層)」と「従来組(=それ以外)」の二極化が進む。

この2つには、初任給など待遇差はあるだろう。ひょっとしたら、入社後のキャリアパスも差が出る。これこそ「新卒一括採用」の終焉の正体だ。

大学生はどう変わるか?

採用側がこれまでと大きく方向転換するわけですから、学生側も受けて立たないといけない。大学生がこれからどう変わるか?。どう変わらないといけないか?。

①勉強時間が飛躍的に伸びる

2・3回生次の長期休暇はインターンに行くことになるだろう。これからさらに、インターン査定が選考の中心になるだろうし、複数社でのインターン実績が必要になる。

企業のインターン枠の受け入れ選考では、「自分はこれを勉強している」という専攻・専門性はもちろん、学業成績も問われる。必然的に勉強する時間は増える。今のサークル・バイト・遊びが中心の大学生活が、大きくアップデートされることだろう。

②キャリアデザインを大幅に前倒し

これまで、例えば私(46歳)が若手社員だった頃は、入社してから数年かけて、OJT(現場訓練)やジョブローテーションをしながら、適性などを見てもらいながら、比較的じっくりキャリアを築けました。今の大企業もあらかたそうだろう。

これからは、2・3回次からインターン=実際に企業で働く(に近い)となると、これまでの「入社してから数年」が「大学2・3回次」まで前倒しされることになる。

そうなると、今の4回生のキャリアビジョン・労働観などは、高校生あるいは中学生あたりから持っておかないといけない計算になる。必然的に、学校や家庭も変わらざるを得ない。

③企業を知る重要性

インターン重視の就活が中心になると聞いて、私は真っ先にこれを思い浮かんだ。

今の大学生は、ゲームのように就活をしている。効率的で機械的。功罪両方ある。。

さらには、大学のキャリアセンター・就職課が懸命に企業を招いて、3/1からは授業の時間割みたいに企業説明会を組んでいる。

なので、大学生に企業や業界の知識がなくても、その時間割のようなスケージュールを見て、誰でも会社名くらいは知っている企業を、順番に説明会に参加し、選考を進むことができる。

マイナビやリクナビ、最近では企業からオファーをくれるようなサイトまで多士多彩なので、30社も40社も受けることができる。「○〇な鉄砲、数打ちゃ当たる」だ。

でもインターンが中心になると、30社も受けることは時間的に無理だ。授業をサボればいいが、単位を落とすことは避けなければならない。必然的に長期休暇になる。そうなると自分で厳選したインターン先、例えば10社なら10社を選ばないといけない。

これまでは、半ば過保護的とすら言えるくらい、大学がおぜん立てしてくれたものに乗っていけばよかったが、自分で10社を選ばないといけない。

前もって10社選ぶには、企業や業界の知識が絶対必要だ。説明会を行きながら、選考を進みながら、知識を得ていく、という猶予がない。

企業や業界の知識がなくても運よく、インターン受け入れ選考に合格するかもしれないが、前もってしっかり勉強をしていないと、インターン先で評価される「早期内定組」の椅子を勝ち取ることは難しいだろう。

じゃあ、大学生はこれからどうすればいいか?

学年別に考えた。

【3回生(2020年卒)】

3回生はこれまでと変わらないので、従来型の就活でいいだろう。企業も来年の採用活動計画をすでに決めているだろうし、そんなに簡単に変われない。

先述の二極化の「インターンからの早期内定組」の割合はまだまだ少なく、おそらく採用の大半は来年3/1から企業説明会開始になるだろう。

ただ、3/1を待たずに説明会を開始する企業は今年よりさらに増えるだろうから、希望する業界・企業の動きはウォッチしておくことと、休暇時に開催されるインターンは行っておいた方がいいだろう。

【4回生(2019年卒)】

4回生のほとんどは就職先が決まっているだろうから、「逃げ切れておめでとう」と言いたいところだが、あまり悠長もしていられない。

なぜなら、自分が入社して以降、自由競争を勝ち抜いてきた「即戦力」の学生が自分の下に入社して来るからだ。

彼らは、インターンから得た経験を持って入社してくる。勉強もこれまでの学生よりしている。中には、先輩の自分と同じ、あるいはそれ以上の初任給を得て、自分の部署に入ってくる可能性もある。年功序列もどんどん進む。

それらを想像すると、入社からゆっくり様子を見ながら…ではなく、入社初日から飛ばしていきたい。

目の前の仕事はスピード感を持って片付け、チャンスがあれば積極的に手を挙げる。入社から3年間は「仕事第一」で取り組み、3年で1人前になる。学生時代のノリで、毎晩友だちと夜遅くまで遊んで、翌日目をこすりながらオフィスに入るなんてことはご法度だ。

卒業・入社までの残り半年の過ごし方も重要だ。

【1・2回生(2021年卒~)】

「就活ルール廃止」の影響を受けるこの世代。

「大学生活のアップデート」、これに尽きる。

まず、いわゆる「余暇」の部分は最小限にし、気分転換程度に留める。はっきりいって、遊んでいる暇はない。

余暇を削ってできた時間は、ぜひ大学から離れ、「外の世界」で活動したい。ゼミやサークルなどは、どうしても内向きな活動になってしまいがち。社会人と接する機会が多いと、就活の面接や社会人になっても役に立つ。

社会人と接するという意味では、アルバイトは有効だが、何のアルバイトをするかを工夫したい。例えば、食品や飲食関係の業界に興味があるなら、居酒屋やレストランなどの飲食店でのアルバイトは、そうでないなら就活にはあまり役に立たない。貴重な時間を使うなら、インターンのかわりになるくらいのアルバイトをしたい。

私は、NPO法人リーダーズカフェという「関学生のための学べるコミュニティ」を運営している。

もし関西の学生(特に関学生)なら、「日経新聞を読む会&株式投資講座」には毎回参加したい。さらには、「近未来カレッジ」も2か月に1回は発表者になる。今年から始まった「日経STOCKリーグ」は毎年参加し、「海外スタディ・ツアー」も毎年参加する。ボランティアの経験は色んな意味でプラスになるので「宝塚つばめ学習会(無料塾)」の講師も積極的にやりたい。

【留学をするケース】

留学も昔ほどアドバンテージならない。留学経験者は数多くいるので、差別化にならないからだ。英語を学ぶためだけで留学するなら、別に日本国内でも問題なくできる。英語以外の言語を習得する、あるいは自分の専門性に繋がるような留学をしたい。

【体育会(クラブ・部活)で活動しているケース】

体育会で活動している学生を評価する企業が今後もゼロになることはなく、体育会のクラブを目がけて、練習後などに企業が特別に説明会や選考などをするところもある。練習や試合があるため、インターンなどにいく時間が確保しにくいが、当面は「紐付き」の選考を頼ってもいいだろう。

しかし、いわゆる企業の「体育会信仰」は徐々に萎んでいっているようにも感じる。昨今のスポーツ界の不祥事が影を落とし、「上下関係をしっかり守り、言われたことは確実にこなす」一方、「上には何も意見できず、言われたこと以外はあまりやらない」というマイナス面を指摘する人事担当もいる。

体育会で活動するということは、「インターンやアルバイト、様々な勉強、社会人との交わりなどを放棄する」と同じことだ。

私なら、「試合に出れる可能性がほぼない」「1軍・Aチームにいない」という状態が2回生くらいまで続くのなら、「自分に大学のトップレベルで活躍するレベルになかった」と諦め退部し、違う世界に足を踏み出す。これまでなら、リスク以上にリターンがあった体育会だが、世の中は徐々に変わってきていることを自覚したい。

最後に

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

「新卒一括採用」の終焉はまだ緒についたばかりで、まだまだ先行き不安定だ。これからもタイミングを見て、考察をしていきたい。

就活生を控えた、悩める大学生の参考になれば幸いである。

#就活 #大学生 #リーダーズカフェ #近未来カレッジ #関学

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NPO法人リーダーズカフェ・代表理事、有限会社サツキ・代表取締役 学生マンションの管理をしながら、大学生と一緒に様々な活動をしています。基本、自分が書いたものはnoteに集約しています。
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