小林多喜二 『蟹工船 ─まんがで読破─』 イースト・プレス, 2007.
「周旋屋[労働者の仲介をする者]の手口
遊ばせて借金ができたところでこの船[蟹工船]の話をもちかける
故郷が貧しくて出稼ぎに来たってのに稼いだ金ですぐに遊んじまってオケラになってまたここに来る」
現代も,労働者の仲介をする者は狡猾なので,注意が必要.
「日露戦争以来(中略)日本の缶詰産業は日本帝国軍の腹を支えてきた」ようです.
缶詰産業にはこのような歴史的背景があるのですね.
「[鉄道敷設や開墾・鉱山開発]を渡り歩いたあの労働者たちに組織[労働組合]を組む知恵など一寸もない」
現代も渡り歩かされている労働者は多くいらっしゃいます.
なるほど,それによって組織されないという資本家のメリットがあるのですね.
「仕事が国家的である以上戦争と同じだっ!
ひとりの無責任な行動で全員が迷惑するんだ!」
この戦時下のような,全体主義的な考え方も未だに多くの人が囚われていますね.
「奴らの間で競争させるのさ
成績の良い者には賞品を与え
成績の悪い者にはヤキを入れる。
ムキになるぜぇ
バカだからな!」
この本の中で,この箇所が最も印象に残っています.
労働者は,競争にムキになる.
なぜならバカだから.
現代は,資本主義の内部では多くの人が,
競争にムキにならざるをえません.
しかし,それは他者によって競争させれているのです.
バカゆえに,ムキになっている,というのです.
「そのうち全員浅川に殺されちまう...!
自分の命は自分で守るんだ
オラたちには保証も何もないんだ
みんな団結して浅川たちと闘おう!
焦りは禁物だ!
いよいよ殺されるってわかったときに行動するべきだ!
今殺されているんですよ(強調は筆者)」。
今殺されているんですよ...
中学生くらいの頃に読みたい本です.
小林多喜二 『蟹工船 ─まんがで読破─』 イースト・プレス, 2007.
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