発達障害者は労働市場から見ることを学ばなければならない

定番の「発達障害者」は、なぜ、企業に採用されないのか、というアホらしいテーマが幾度となく議論される。
まず、前提は、日本経済は、もはや、経済成長はないのにも関わらず、企業が新卒一括採用という経済成長にならない日本では、考えられない採用をしているところから問題のはじまりがあると見たほうがよい。経済成長がない日本で新卒一括採用をしている理由が私には、大学の就職課を喜ばせるためだけではないのだろうか。経済成長の日本では新卒一括採用は、超個性な奴まで採用していた。私がそのころ現役だった人から聞いた話では、経済成長時代の日本企業のサッポロビールでは、面接に来た人物がずっと黙っている。質問されても黙っている。面接官は困った。帰らせようとしたそのとき、その面接に来た人物はこう言い放った「男は黙ってサッポロビール」と。面接官がえ?という顔をしてその場で「採用!」と大きく叫んだそうだ。
しかし、現在ではそんな超個性派は、勝手に「発達障害」と思われ、面接官から医者へ行かれたほうが…となり、まったく、つまらない人間だけが採用されてしまう。日本企業の採用基準である「コミュニケーション力」とは英語に翻訳できないカタカナ英語である。しかし、もともと英語である。私たちはカフカの『城』にでも迷ってしまったのだろうか。英語の「communication」は、伝達、連絡、意思疎通といった意味をさし、日本人がいうカタカナ英語の「コミュニケーション」は英語に翻訳できないカタカナ英語である。その「コミュニケーション」という企業側だけが知っている採用基準を突破しようとするのだから、面接はなぞなぞゲームか、まったく意味不明な「雑談」である。
現在、経済成長ができない日本で、新卒一括採用は大学就職課が喜ぶだけで、なぜなら、就職課は大学生の鎮圧に「そんなことでは就職できないぞ」と恫喝しているのだろう。大学を行っていない私ですら、手口は見える。
現在の新卒一括採用とは、落とすためにある。
新卒一括採用がそうだから、現在は、落とすために企業は面接しているとみたほうがいい。
確かに、欠員補充の場合、採用するために採用選考がある。
しかし欠員補充は契約社員か派遣社員である。
日経連が1995年発表した『新時代の日本型経営』は、正規雇用は将来的に幹部社員と決めている、他は非正規にせよ、というのが日経連が1995年発表した『新時代の日本型経営』の要旨である。
日経連は今では経団連と名を変えたが、基本線は変化していない。
大前提の話をする。1990年、バブル崩壊、以降、中高年のリストラが始まる。当時、有名なパワハラ退職勧奨追い出し部屋で退職させたのはセガ・エンタープライゼス事件である。
以降、管理職余りが始まり、中高年リストラが大々的に行われた。自殺する中高年もいた。柄谷行人は、自殺は、自分を殺すことだから、社長を殺せばよいではないか、と群像で語っている。私は同じくそう考えた。
1995年以降、20世紀末から、経営が新規成長のために労務管理されてきていない。その20世紀末から今日の2020年までそうなのである。
つまり、マルクス経済学用語でいうところの「相対的過剰人口」が、正規雇用の賃金を下げる圧力をしているが、それは日本企業の狙いなのである。
しかし、人口減なのに「相対的過剰人口」とはどういうことか。
機械化が進みすぎてしまった結果である。
その結果、企業は雇用を維持したくなくなった
企業やマクロ経済学は「人件費」と呼びならわすその実体は「労働賃金」と「労働者にかかる経費」であるが、「労働者にかかる経費」とは、結局、会社にとって必要な諸経費ではないか。ここに企業の詭弁がある。労働者が使用する作業服まで「人件費」に含むのは詭弁ではないだろうか。
「人件費増」という詭弁が、採用を控える企業の言い訳を正当化している。しかし、人件費とは、すべてをはぎ取れば「労賃」それ以外なにものでもない。
1995年『新時代の日本型経営』以降、正規雇用の採用は押さえられてきた。しかし、法律には、無期雇用と有期雇用しかない。我々は、正社員、契約社員、パート、アルバイトと当然のように呼びならわすが、法律的には無期雇用と有期雇用だけである。現在、日本企業は、どんな人間でも、それが発達障害だろうが、健常者だろうが、有期雇用で採用したいのだ。
そこがわかっていれば、発達障害が採用されにくい、とかいう言説はあほらしいのだ。
人口減なのに「相対的過剰人口」という矛盾が、現在の雇用困難を表している。
だから、労働市場からみないと、私は、発達障害だから採用されにくいから、様々なスキル、マナーが施されるが、それより見なければならないのは、ハロワの求人情報であり、一体、どんな企業が求人をだしているか、である。そもそも少なければ、採用されにくいのは当然ではないか。
自分を責めるな。

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