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肥大化し過ぎたSXSWよりもFORM、アリゾナのタトゥイーンで開催される小規模フェスの話

アリゾナの砂漠、フェニックスから北に70マイル、セドナ方面に向かって走る。あのパワースポットの近くで、5月に「FORM」というフェスティバルが開催されるらしい。"らしい"っていうのは、実はさっきTwitterのタイムラインを見て初めて知ったからなんだけれども。このフェスティバル、Anderson .PaakやSkrillexやBonoboなどが出る音楽イベントの要素だけでなく、アート・アイデア・建築・ウェルネス・環境・コミュニティーをテーマにいろんなワークショップやディスカッションも行われるイベントで、たった2000人しか参加することができない。そしてこのフェスティバルがすごいのが、開催場所がアーコサンティ(Arcosanti)だということ。すごいというか、やばいんです。


アーコサンティは、かのフランク・ロイド・ライトに師事した建築家パオロ・ソレリが提唱するアーコロジーのコンセプトに基づいて、1970年からアリゾナ州中部に建設された環境実験都市。或いはコミュニティというか、共同体というか。当初は5000人くらいが暮らすための都市を目指していたみたいだけれども、現在は100人くらいしか定住者がいないようなので、今となっては都市というほどの規模ではないのかもしれない。

アーコロジーの概念は現在の平面的な広がりを見せ、地球を覆い尽くさんとする都市のあり方へのアンチテーゼである。ソレリは著書 "Arcology:The City in the Image of Man" の中で都市構造の圧縮、つまり都市を立体的にして人を高密度で収容し人の居住地域を限定することで、平面都市では市街地となっていたであろう土地を耕作地・農地としたり、職住近接を実現させ車を不必要とすることで人口過剰や環境劣化という問題の解決を主唱している。


ただ、このアーコサンティという場所に惹きつけられるのは、実はこの場所が「エンドア/Endor」と「タトゥイーン/Tatooine」という2つの惑星が出来上がるキッカケになったからなんです。そう、「スターウォーズ」に登場する、あの惑星。70年代初頭、ジョージ・ルーカスはこの場所を旅して、この2つの惑星の着想を得たんですね。

そんな100人くらいしか人が住んでいない砂漠の街に、FORMに参加するために、2000人が集まる。今年で6回目。これだけ小規模なイベントのために、Anderson .PaakやSkrillexやBonobo、過去にはJames BlakeやSolangeなどがパフォーマンスを行い、そして様々なテーマについて非常に濃いディスカッションが繰り広げられる。どんなに素晴らしい体験ができることかと。

きっと最初のSXSWもこんな感じだったに違いない。SXSWが1987年に初めて開催された時、参加者はたった700人しかいなかった。それが今となってはMusic・Film・Interactiveと3つのイベントに分かれて、30万人以上も参加する巨大過ぎるイベントになってしまった。規模は年々大きくなり、あまりに商業的で一般化し、実験的なブランドマーケティングの場としてのSXSWは殆ど機能しなくなってしまった。それでもSXSWに行くのは面白いし、日本人の参加者も増えたので行く理由も考えやすい。ただ肥大化したフェスティバルに、参加者もブランドも、そしてパフォーマーも、実は少し食傷気味になっているのかもしれない。

少なくともFORMは、そんなことを思ったHundred Watersというバンドのメンバーが、自ら立ち上げたイベントだった。たった2000人しか参加できない3日のフェスティバル。今年、きっと多くの日本人がSXSWのためにオースティンに行くと思う。だけど、みんなが行くイベントよりも、あんまり知られてないFORMに行こうという人がいてもいいんじゃないか。少なくとも、自分ならFORMに行ってみたい。2000人と一緒に、音楽を楽しんだり、未来についてディスカッションしてみたい。あ、これ仕事で行かせてくれないかな、という頭出しね。









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橋本英明。フジテレビで傍流を歩むプロデューサーです。主に動画配信・新規メディア開発・海外番販・国際共同製作などを担当。メディアエンターテイメントとテクノロジーの交差点から、こんにちは。Twitterはこちら→@hideaki

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コメント (2)
いつも#COMEMO投稿ありがとうございます!そして今回も興味深い内容でしたので、日経電子版トップのCOMEMO枠でご紹介させていただきました。
ありがとうございます〜
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