見出し画像

今日見た映画(2020/04/17)

・『セルジオ: 世界を救うために戦った男』 監督:グレッグ・バーカー(2020年)

画像1

そもそもこの映画を見るためにNetflixに加入したので感慨深い。セルジオ・デメロとは2003年にバグダッドで起きたテロ攻撃により命を落した国連人権高等弁務官。彼の偉大な功績や恋人との出会いと別れを描いた作品だ。最初に主人公が命を落とすことを知っているだけに見ていて辛くなる。瓦礫の中で虫の息のセルジオが過去の出来事を振り返るスタイルで物語は進んでいく。国連は往々にしてアメリカの道具と見なされ地元の住民からは歓迎されない。そんな劣勢の中でもセルジオは独裁政権や武装勢力と対峙し、住民と対話し、国連職員の心を開くように尽力する。その姿はまさに理想的なリーダー像だ。恋人カロリーンとの関係を描く上で、セルジオの離婚歴にどのように触れるのかに注目していた。仕事一筋で二人の息子のことを何も知らない父の顔もしっかり描かれていた。この映画の中で最も輝いていたのはカロリーンを演じたアナ・デ・アルマスだろう。だってカロリーンそっくりなのだから。

この写真にカロリーン本人がTwitterでコメントしている。

監督のグレッグ・バーカーは『セルジオ テロに死す ~イラク復興を託された男~』(2009年)も手掛けている。当事者たちによる詳細な証言を集めていた彼だからこそ、セルジオの伝記映画を手掛けるのに最も適任だったと思う。2つのセルジオ映画の原作は元アメリカ国連大使のサマンサ・パワー著『Chasing the Flame: Sergio Vieira de Mello and the Fight to Save the World』である。彼女がTEDに登壇した際の様子が今でも見ることが出来る。この顔に見覚えのある方も多いのではないだろうか。

「セルジオが生きていれば世界は変わっていた」と言う人もいる。私はそれほど楽観視はできないと思う。しかし国際政治の舞台で最も重要な人物を失ったことは紛れもない事実である。この映画を通してセルジオ・デメロの生涯についてより多くの人に知られることを願っている。

・『わたしたちの宣戦布告』 監督:ヴァレリー・ドンゼッリ (2011年)

画像2

若い夫婦が難病を患う幼い息子のために奔走する作品。クラブで偶然であった二人が結婚したまではよかったが、子供が生まれた瞬間に親として振る舞うことが求められる。心構えができないままに子供と対峙しなければならない若い二人。その戸惑いの描写がとてもよかった。子供は痛みや不安を訴えることはない。ただ周囲の人間たちが事態の深刻さに右往左往する。若い夫婦が看病中心の生活に疲弊し家庭が崩壊するだけなら救いようのない話だろう。でもタイトルにもあるようにこの夫婦は「宣戦布告」をする。実際に何かを高らかに宣言するわけではないが、どうしようもない困難に直面しても強くあろうとする。二人の関係性は闘病生活の中で変化していくがラストシーンは希望に満ちていた。誰もが同じような経験をするわけではない。闘病生活がハッピーエンドで終わるとも限らない。でもこの映画を通してこれから自分が経験するかもしれない試練への向き合い方を学んだ気がする。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?