新宿という街
窓から新宿の街を一望する。今日の天気は雨だ。空は低く高層ビルの間をグレーの雲が蓋をしている。雲から離れて下に向かうほど濃淡は薄くなっていた。私は初めてそんなことを知る。
多分ここにはしばらく来ないであろう。素敵な家具に本に音楽。不安定な心には本来ときめくであろう物たちも海が凪ぐような安定を与えてはくれない。だがわずかながらアートな空間はここに居たいと思わせる、不思議な場所だ。
霧雨は花柄の傘、キャンバス地のスニーカーも買ったばかりのヘリンボーン生地のバッグもじっとり濡らす。
外国人が多い。ユニクロの半月型のショルダーバッグが外国人に人気と聞いていたが持っている人を今日も前回も見かけた。
人でごった返す街。新宿御苑は雨じゃ人がいないだろうな。私は晴れた日に高層ビルから見た、公園の青い芝生に寝っ転がっている人たちを思い出した。この街に友達と何度も来た。でも彼女が遠くに引っ越してからは会うためわざわざこの場所は選ばないと思う。
この地に来るのはいつだろう。新しい出会いがあった時かな。その時は新宿御苑の芝生でお昼寝でもしたい。そんな関係の人と居たい。