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大川小で初の新任教職員研修 児童遺族が教訓伝える

 東日本大震災の津波で児童、教職員計84人が犠牲となった石巻市の旧大川小学校校舎で15日、県内の新任教職員を対象とした研修会が初めて開かれた。当時6年生だった次女みずほさんを亡くした元中学校教諭の佐藤敏郎さん(57)らが講師を務め、大川小であった事実を伝えながら自然災害や命、防災に向き合う心構えを説いた。

 研修会は県教委が主催し、震災の教訓から学校防災に関する知識と技能を学ぶことが目的。大川小では今月上旬に小中高校などの新任校長約100人を対象に研修があり、今回はこの春新規採用された教職員向けに初めて開いた。

新任教職員対象の防災研修会初めて実施 大川小前で佐藤さんが講演 (156)

被災校舎前で新任教職員に講演する佐藤さん

 大川小のほか、同じく震災遺構となっている仙台市の荒浜小や山元町の中浜小など計4カ所で実施。計570人の新任教職員は4カ所に分かれて研修に参加し、大川小には156人が訪れた。

 佐藤さんは震災前の大川地区の様子に触れた後、大川小の震災時の状況を説明。約50分間校庭に留まり、津波到達する直前に避難行動に移した事実を伝えた。「子どもの命を救えなかった先生も無念だっただろう」とおもんぱかった上で「逃げれる山やハザードマップだけでは命は救えない。『山に登る』など判断行動が大事。それがあれば子どもの命は救えた」と強調した。

新任教職員対象の防災研修会初めて実施 大川小前で佐藤さんが講演 (84)

 「教職員は子どもの命を救える素晴らしい職業。だからこそ念のためのギアを1段も2段も早く高くあげることが重要。悲しさやつらさは消えないが、それに向き合った先で未来が拓ける。それぞれに考え、各校に帰ってからも大川小のことを話題にしてほしい」と呼び掛けていた。

 新任教諭の中には震災当時、小学6年生だった人もおり、真剣に耳を傾けていた。その後、ビッグバンに移動してから当時、大川小6年の長女小晴さんを亡くした平塚真一郎さん(矢本一中校長)も講演。「災害時は、子どもの命を最優先に行動してほしい」と話していた。【山口紘史】


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