石巻市 全児童対象に電子書籍導入
4千冊以上読み放題 ポプラ社運営「ヨモッカ」
石巻市は本年度、市内全小学校の児童を対象に「電子書籍の読み放題サービス」を導入する。全児童配布のタブレット端末から、市が包括連携協定を結ぶポプラ社=東京都=運営の「Yomokka!(ヨモッカ)」を介し、約4200冊へのアクセスが可能になる。本に親しむ環境を提供し、読書を通じて基礎学力を高めていく考えだ。
市内小学校の学力は、県や全国平均より低い傾向にあり、市教委はこの要因に読解力や語彙力、論理的思考力の不足を挙げる。電子書籍で読書習慣を育みつつ、これらを養うのが狙い。
ヨモッカには、現在38社の出版社が参加し、絵本や小説を中心に一部中高生向けの書籍もそろえる。学校図書館のように利用時間や貸し出し冊数にしばられず、タブレット端末とIDがあれば「いつでもどこでも好きなだけ」本が読める。
子どもの好奇心をくすぐる仕掛けがほどこされ、ログインや本の読了などでポイントが加算。貯めたポイントで本棚の装飾、ガチャ機能でヨモッカが勧める「きょうの1冊」と交換ができる。
開北小と釜小は、それぞれ令和3年10月、4年4月から5年度末まで、他校に先駆けて無料の試験導入が行われた。朝読書や休み時間、授業中も教材として活用。国語で扱った作者の別の作品をみんなで読んだり、グループワークの資料収集などに役立てた。
活字親しみ学力向上へ
ポプラ社には、両校から「本に愛着を持つ姿が見られた」「友だちと同じ本を読んで感想を話せるのを喜んでいた」などが寄せられた。このうち開北小ではヨモッカ導入後の4年4月に、総読書量が前年比の約1・5倍に増加。同月の学校図書館の貸し出し数は1700冊(前年1253冊)となり、紙の本への親しみを育む効果も期待される。
モデル校の実績を鑑み、全小学校への導入準備が進んでおり、市教委による各校への説明や、全児童のIDの作成が終わり次第稼働する。予算は約1500万円で市の財源を充てる。
開北、釜小の2―6年生は前年度のIDを引き継ぎ、既に利用を開始している。開北小4年の高木優誠さん(10)は「タブレットを触って本を読めるのが楽しい。ヨモッカで国旗の本を読んだことで、家でも国旗の由来が書かれた分厚い本を読むようになった」と話した。
同社の平瀬律哉副社長(こどもの学び本部本部長)は「本好きの子どもが増えてくれたらなにより。デジタルだけでなく紙の良さも知ってもらい、学校図書館の活性化にもつながれば」と語った。
【泉野帆薫】
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