次代への軌跡「新文化創造」 ④展望 広がる趣味と活動
石巻市では平成29年から、現代アートと音楽、食の総合芸術祭「リボーンアート・フェスティバル」が始まった。その後、隔年で開かれ、今夏が3回目の後半会期となる。国内外の芸術家の作品が市街地や牡鹿半島に展示される。
石巻市内には「石巻のキワマリ荘」「アートドラッグセンター」などのギャラリーも誕生し、若手芸術家が創作活動に打ち込む。仕事の傍らで創作を行う人も多く、同市内で活動するいぼくまさん(35)もその一人。
2人組のユニット「KUMAKAN」として都内で活動していたが、平成27年に石巻市にUターン。「地元で活動することで、若い世代が芸術文化に興味を持つきっかけを作れればと思った」と話す。帰郷後も保育園や市街地の壁面に巨大な壁画を描いている。
「創作活動を通じて多くの人、絵画だけではない多くのジャンルとつながりができ、地域の将来性を感じている」と地元での交流の広がりに期待する。
昨年の東京五輪で注目を集めた「スケートボード」も、新しい文化として地域に入ってきている。令和2年に女川町に整備されたスケートパークに続き今年1月、石巻市は同市南境の「セイホクパーク石巻」にある駐車場の一角をスケートパークとして開放した。
東日本スケートボード協会(勝又秀樹会長)が市に要望し実現したもので、週末には親子が練習に励む姿が見られている。現在は試験的な運用で、市は利用状況を見ながら今後の継続などを考えていくという。
勝又会長は「技術を磨き、プロ選手として活躍できるような環境を整備できれば」と話す。定着するには時間を要するが、新しい文化として地域の魅力となる可能性も秘める。「スケートボードは市街地から発展して今がある。そこには地域文化や人との交流も生まれる」と勝又会長。今後、同市中瀬にもスケートボードが可能な公園の整備を要望し、中心市街地に若者中心の地域文化を集中させていきたいという。
商店街の立町、中央地区周辺は演劇やアート、スケートボードなど新しく生まれてきた趣味や文化、表現の集積地としての可能性も見える。これまでとは違った地域の魅力として育て、発信していけば大きな武器になるのではないか。【渡邊裕紀】
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執筆担当者:渡邊裕紀記者
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