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次代への軌跡「新文化創造」 ⑤提言 面と点でつながりを

 音楽、演劇、創作など多岐の文化を集約するには、石巻市が「マンガの街」であることが前提になる。石ノ森萬画館から周辺の中心市街地を一つの拠点として考えたい。その上で、複合施設の「マルホンまきあーとテラス」も拠点に、この2カ所を有効に活用していく可能性を探りたい。

 まちなかには、すでにアートを扱う施設や演劇などを行う小規模スペースが点在し、これから新しい施設も整備されていく。震災後に発展してきた文化をしっかりと根付かせるためにも、現在ある演劇祭や音楽祭、創作家による個展、さまざまなイベントを連携させる横のつながりが重要に思う。

 中心市街地の各施設は、まち歩きも楽しめる。「いしのまき演劇祭」のように期間を設定し「この月なら、週末に何かしらのイベントがある」という企画を演劇、音楽、アートなどと連動させるのはどうか。中瀬公園でのスケートボード教室なども加え、ジャンルを超えてつながることで新しい可能性が見えるはず。

 ただし、各ジャンルが壁を取り払い、一つの「文化」としてまとまることが前提。情報共有も重要だ。個々は小回りが利き、自由度も高いが、文化を発展させるには結束が欠かせない。単発的に行われるイベントを連動の中に組み込み、萬画館も含めて市街地全体で行事の年間進行を考えていくことも必要。スケジュールが誰にでも分かる冊子やオンラインにあれば、まちなかへの周遊を生み、人のにぎわいにつながる。

 まきあーとも文化を集約する施設として活用すればいい。中心市街地が小さな点をつないだ面的機能を持つなら、まきあーとはそれを1施設に集中させる巨大な点として見るべき。市民の手で作った文化祭のように、まちなかのみならず市内全域の文化芸術、芸能を集める一大イベントがあってもいい。それが、中心市街地とは違う、距離があっても「行ってみたい」と思わせる巨大施設の魅力につながる。

 施設全体を全て使い、絵画や写真、アート、ダンス、演劇、和太鼓などが展開され、その日は市民だけで占有し、石巻ならではの文化の祭典を作り上げていくことで地域に定着していくはず。それには行政の補助も必要だろう、市民が活躍する場を広げて文化を醸成していくことも、豊かな生活につながる。

 中途半端であっては地域の魅力にはならない。広くつながり、日本でここにしかない新文化を創ることは、決して不可能ではない。

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執筆担当者:渡邊裕紀記者
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次回は「(仮称)堤防と水辺空間」をテーマに4月12日から連載します。

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