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あの日の誰かに届けたい 民間学童保育「ブレーメン」 児童が手紙 3・11に思い

 NPO法人放課後こどもクラブBremen(ブレーメン・寳鈴子理事長)=石巻市日和が丘=は25日、石巻中央公民館で、学童保育を利用する児童向けに「3・11で届けたい人にお手紙を書こう」と銘打った教室を開いた。東日本大震災から間もなく10年を迎えることに合わせた企画。児童たちは家族や地域、津波で亡くなった人や復興を支えたボランティアらに対し、それぞれ感謝や弔いの気持ちを込めながら手紙を書いた。手紙は3月11日に南浜町の「がんばろう!石巻」看板前で、児童自らが読み上げる。【山口紘史】

 ブレーメンは元小学校教諭の寳理事長が震災後の平成24年に設立し、30年に法人化。復興のために働く子育て世代をサポートできる受け皿になれればと児童の預かりを始め、現在は近隣の石巻小学校の児童を中心とした学童保育を展開する。

 手紙を書く活動は震災時に生まれていなかった子どもたちに、あの日の出来事を知ってもらうとともに、石巻の復興を支えた多くの人に感謝の気持ちを持ってもらおうと寳理事長らが企画。今回初めて開いた。

3・11の手紙 放課後こどもクラブブレーメン

思い思いに書いた手紙を読む児童と、見守る寳理事長(左)

 学校を終えた児童約10人は公民館の和室に集合。寳理事長は震災に関する絵本を朗読したほか、石巻で起きたことを分かりやすく伝え、悲しい思いをした人が大勢いたことや、ボランティアが支えてくれたことも教えた。

 その上で、子どもたちは思い思いの人に宛てた手紙を執筆。木村幸琉ちゃん(石巻小1年)は震災で命の落とした人たちに「亡くなった人の分まで頑張り、困っている人を助けたい。大変なことがあっても負けずに頑張るので空から見守っていてください」と書いた。

思い思いに手紙を執筆する児童たち

思い思いに手紙を執筆する児童たち

 中村聡恵ちゃん(湊小1年)はおととし亡くなった曾祖父に宛てた。「地震の時、助かってくれてありがとうね。ぴぴ(曾祖父)がいなくて悲しいよ。ぴぴ、私に優しくしてくれて、元気にいてくれてありがとう」と、ありのままの気持ちを込めた。

 加来優里香ちゃん(石巻小1年)は、行方不明者の捜索に尽力した自衛隊員に向けた感謝をつづった。津波で犠牲となった同世代に対しては「死んでしまった人も(いずれ)大人になって赤ちゃんとか欲しかったと思うからかわいそう」と哀れみの気持ちを語った。

震災に関する絵本を通じて、あの日石巻に起きた出来事を子どもたちに伝える寳理事長

震災に関する絵本を通じて、あの日石巻に起きた出来事を子どもたちに伝える寳理事長

 寳理事長は「発災当時はまだ生まれてもいない子どもたちだが、震災の話は彼らの心にも響いたことは手紙を読んで伝わった。伝承と防災意識の向上にもつながってほしい」と話していた。

 児童たちは、発災から丸10年となる3月11日に「がんばろう!石巻」看板前で手紙を読む。その様子は動画投稿サイトのユーチューブで配信する予定。


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