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石巻日日新聞 noteはじめます

皆さん、はじめまして。石巻日日新聞の石森です。宮城県の石巻地域(石巻市、東松島市、女川町)で発行する超ローカルな新聞社が、なぜ、noteを使って記事を配信するのか。せっかくなので少し、説明したいと思います。

石巻日日新聞は石巻市双葉町にある新聞社です

石巻日日新聞とは

石巻日日新聞は大正元年(1912)創業の新聞社です。2020年で、創刊108年を迎えます。社員は23人。

「日日」とつく新聞社は日本各地にあります。多くは「にちにち」と呼ばれていますが、私たちの社名は「ひび」と呼びます。2019年7月には発行の度、毎日加算される「紙齢」が3万号の節目を迎えました。小さな新聞社ですが、先輩たちがつないでくれた歴史ある新聞社です。

大正5年ごろの石巻日日新聞社員。石巻の大正・昭和・平成ーふる里と歩んだ石巻日日新聞の100年―より

創刊100年を目前にした大震災

2011年3月11日、東日本大震災。私は、2015年に新聞社に入社しましたが、社長をはじめ、社員はあの日、新聞社で大きな地震を経験しました。
海から約1.2キロ離れた本社には津波が押し寄せ「輪転機」は水没。さらに停電で新聞の印刷ができない状況となりました。

新聞社の1階にある輪転機は毎日、メンテナンスを行っています。

「日々、新聞を届けている地域で多くの人たちが、不安を感じている時だからこそ、情報を届けよう」

そんな社員の思いで、翌12日から「手書きの壁新聞」を制作しました。17日までの6日間、読んだ人々の心を折らないように、希望をつなぐ記事を書き、高台のコンビニや避難所に張り出しました。

新聞社が運営する石巻ニューゼでは、実物の壁新聞を展示しています

壁新聞の紙は、社内にあった「新聞紙」を使いましたが、題字や記事は全て手書き。それでも、地域の人たちは情報を得る「新聞」と認めてくれて、各避難所で目を通し、読んでくれました。

震災翌日、被災状況を伝える情報があふれる中、壁新聞には「正確な情報で行動を!」と呼びかけました

いまでも、多くの方から「避難所で読んだよ」といった、声をいただくことがあります。地域の皆さんの「新聞社への信頼」を実感する壁新聞です。

変わるライフスタイルと情報収集

東日本大震災の発生から間もなく9年を迎えます。あれから、スマートフォンが普及し、若い人たちの間ではSNSを使った情報収集が一般的になり、ライフスタイルや情報の使い方も大きく変わりました。

そんな中、新聞社では社会の仕組みやライフスタイルが変わってきたので、情報を届ける仕組みの再考が課題となっていました。そして、先輩たちが、東日本大震災の中でもつないできた「地域との信頼」を裏切らないように、次の世代へ情報を届けていくにはどうすれば良いのか、ということもテーマとなっていました。

2019年7月3日には、新聞の紙齢が3万号を達成しました。先輩たちから受け継いできた「題字」を次世代へどうやって残していくかも課題に。

前職でインターネットサービスを開発していた私にとって、新聞記事のデジタル販売は入社時からの大きな課題でした。これまで、コンテンツのデジタル収益をあげてきたかというと、全くと言っていい程、できていませんでした。

なんとか、仕組みを作ってみようと、課金・決済システムの内製化や外注開発も検討しましたが、要件定義や開発運用を進めるだけのデジタル人材の確保や先行投資が難しい状況でした。

時間の確保や、投資が難しい...

そんな中、課金システムを持ち合わせていたnoteは最適なプラットフォームでした。デジタルを本職とする人材がいなくても、ブログ感覚で安定的に運用ができて、イニシャルコストもそれほどかからないのが、魅力だったからです。

愛する地域を未来の笑顔につなげます

インターネットが多くの人々をつなぎ、多様な価値観が見えるようになりました。更に、スマートフォンが普及したことで、時間の個人消費が進みました。

2020年1月1日発行の新聞では、東京五輪・パラリンピックへの期待感を掲載。旧北上川右岸に整備された堤防の広場の様子とともに紹介しました

先輩たちが地域で100年以上つないできた情報が、今の時代、どれだけ求められているのか?必要とされているのか?を問われている瞬間でもあります。また、SNSやメッセージアプリ、動画やゲームなど、これらのあらゆるサービスと向き合い、読者に選ばれるサービスをどれだけ提供できるかを問われているとも言えます。

私たちが、これからも、読者の皆さんから信頼していただくメディアであるためには、地域のヒト、コト、モノ、ローカルリソースを知り尽くした「ローカリスト」として、正確な情報を届けることだと思っています。

そして、東京への一極集中やグローバル化が加速する社会で、ここに住む人々が地元の「文化や歴史、風土」をわからなくなってしまったら。何をもって「石巻」と呼ぶのでしょうか。デジタルだからこそ、今の地域の「在り方」や「在り様」を、個人や全国へ配信できます。個々人へ、リーチ可能なこの状況は、地域を再定義する絶好のチャンスだと考えています。

媒体やエリア、継続的に情報を伝えるためのツールが変わるとき、どんな結果を得られるか。私も楽しみです。

石巻日日新聞のnoteでは、読者の皆さんに継続的に情報を届けるため記事の有料配信を行います。地域内外の皆さんに知っていただきたい選りすぐりの地域情報をお届けします。
フォローして、気にかけていただけると、うれしく思います。

最後まで記事をお読みいただき、ありがとうございました。皆様から頂くサポートは、さらなる有益なコンテンツの作成に役立たせていきます。引き続き、石巻日日新聞社のコンテンツをお楽しみください。