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石巻地方でも大量発生 農家に深刻な影響 温度差ストレス?柿が変形

 秋を代表する味覚の柿(カキ)の実。石巻地方の農家も収穫や出荷を進めているが、今年は柿の形に異変が見られている。一つのヘタから実が2個、3個と分かれたものや突起物があるなど変形した柿の大量発生に農家は頭を抱えている。県園芸推進課は夏の高温による影響を指摘しているが、詳しい原因は不明。病気によるものではないため、品質に問題はない。石巻地方でも民家の軒先に柿の木を植えているところが多く、今年は形の異常な実がそこかしこで発見されている。

病気でなく品質問題なし

 石巻市飯野の「あかま里山農園」(赤間克三代表)でも変形したカキが多数見つかった。9月の甘柿収穫ではなかったが、11月の渋柿の収穫時は、育てている「富山あんぽ柿」の約1割に変形が見られた。複数の突起物や深い割れ目、手裏剣のような十字型など形もさまざまだ。

 同園の赤間祐子さんは「代々引き継いで100年以上やっているが、変形したカキを見るのは初めてで、これまでも聞いたことがない。自然の不思議さを感じる」と話す。変形したものは出荷できないが、品質に問題がないことから自家用で消費するという。

収穫した柿の一部が大きく変形していた(あかま里山農園)

 また、渋柿だった実が甘くなり種が無くなる現象もあり、赤間さんは「化学物質の影響を描いた書籍『沈黙の春』のような、静かな怖さも感じている」と今後の影響を懸念していた。

まるでウサギの形をした柿

 県園芸推進課の上野慶紀技術主査は「平成2年に福島県で同様の現象が起こった記録がある」とし、発芽期から開花期にかけての高温や温度差で柿の木にストレスが掛かり、育った実が変形する可能性を示唆した。だがメカニズムは完全に解明されておらず、原因はいまだ分からないという。

 県内では、丸森町や白石市が柿の一大産地となっているが、県によると収穫した実の半分が変形しており、深刻な状況が続いている。干し柿にする場合、いびつな実は不要な部分を切り落として加工すればある程度対応できるというが、12月ごろから始まる干し柿の出荷量に大きな影響を与えそうだ。
【渡邊裕紀】





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