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大川小卒業生ら決意表明 未来を拓くネットワーク 新団体立ち上げ震災伝承

 東日本大震災の津波で児童、教職員計84人が犠牲になった石巻市立大川小学校の卒業生らが「Team大川未来を拓くネットワーク」を立ち上げ、13日にビッグバンで第1回意見表明を行った。被災校舎の保存で活動してきた震災時大川小5年生の只野哲也さん(22)らが、これまでの「チーム大川」をバージョンアップ。震災遺構となった母校の今後の在り方を考えるほか、未来の子どもの命を守る活動をしていく。

 代表の只野さんは基本理念に
①未来のいのちを救う
②子どもの笑顔を守る
③みんなと向き合い心を育む

―を掲げた。昨年、広島の原爆ドームを見学した経験も踏まえ、「いろんな人、団体と交流してネットワークを築きたい」と話した。

 昨年7月に震災遺構として一般公開された大川小には、これまで約4万人が訪れた。校舎は基本的に現状保存だが、隣接する伝承館の展示内容にはさまざまな声がある。同ネットワークは保存の仕方や活用方法で市と連携しながら、よりよい道を探りたいという。語り部なども視野に入れているが、具体的な活動は今後詰める考え。

 震災後、学習支援に入り苦楽を共にした利府町出身のメンバー佐藤周作さん(24)は「例えば(大川小の)グラウンドにサッカーゴールを置いて子どもが遊んだり、人が集える場を作りたい」と話した。

意見表明した只野さん(左端)

 只野さんと大川小の同級生で、4月から保育士として働く今野憲斗さん(22)は、これまで只野さんらの活動を遠くから見てきたが、「もやもやした心の整理をつけて」メンバーに加わった。震災時は「死の恐怖を感じた」と語り、「きょうから哲也君を支える」と述べた。

 震災時大川中1年生だった尾形響聖さん(24)も今回からの参加。「皆と会ってパワーをもらった。チームの大切さを実感した」と話していた。

 会場では大川地区の住民ら約50人が見守った。意見交換を経て最後に只野さんは「子どもたちが豊かな自然の中で、自由にのびのび命を育むことができるふるさとを取り戻したい」と目標を語った。【本庄雅之】


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