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石巻市・亀山紘市長(前編) 復興は目に見える形に

 石巻市と東松島市の両市長は、来年4月28日の任期満了まで1年を切っている。亀山紘石巻市長(77)は、3期目の今期限りで勇退する公算が大きく、この1年は東日本大震災の復興基本計画の最終年度で亀山市政の集大成でもある。平成21年の就任当初に掲げた公約は震災で軌道修正を余儀なくされ、在任期間のほとんどは災害対応に追われた。人口減少や新たな災禍など課題が山積する中、石巻市長(前・後編)、東松島市長の順に市政の舵取り役としての自己評価を聞いていく。【熊谷利勝】

 ―前回市長選は災害に強いまちづくりを重点としていたが。

市長 復興が目に見える形で進んでいることを市民にも実感してもらっていると思う。残り1年、未完成の事業が多いが、何としてもおおかた完了させたい。特に道路、橋など暮らしに直結する事業の整備が遅れている。これまでなかった堤防ができたが、震災の地盤沈下がいまだに大きく影響している。台風19号を教訓に、雨水排水対策を早急に進めたい。

 ―在任中は震災、台風、新型コロナウイルスと災禍が続く。当初の公約も思うように実現できなかったと見受けられる。特に行政と地域の協働のまちづくりである「地域自治システム」は、全域での協議会組織設立を目指していたが、実際は。

市長 4地区の設立であり、市民に理解が得られていない。市民の考えが多様化していく中、協働のまちづくりは必要。5地区目が稲井地区で立ち上がる予定であり、引き続き推進したい。

亀山紘石巻市長 (25)

 3期目も残り300日余りとなった亀山市長

―風通しの良い行政組織、業務民間委託の加速もあったが、あまり進んでいないのでは。

市長 風通しの良い職場づくりはある程度管理職に浸透し、若い職員も意見や提案ができる体質になっていると思う。民間委託は人口が減少し、職員数も削減していく中で必要。できるものは民間に委託し、創造的復興に職員が能力を発揮してもらうことが重要だ。SDGs(持続可能な開発目標)未来都市の申請に当たっては職員が自ら考えて書類作成し、そういう意味では意識の高さが発揮されてきたと見ている。

 ―合併市の一体感を生むため、総合支所に一定財源が配分されてきたが、行財政改革の必要から現在は総合支所機能の見直しが検討されていると聞く。

市長 避けては通れない話題であり、庁内に在り方の検討委員会が立ち上がっている。本庁でやれることは本庁でやることになると思うが、地域の課題は総合支所が担う。高齢化の中で地域自治システムは重要で、職員が地域に入って一緒に解決を考えていくことになる。

 ―旧来の中心市街地と発展著しい蛇田地区の共栄も命題であった。

市長 震災前の状況であれば、中心部はもっと衰退した。地元の人の住まいの利便性を高めて経済効率の高い街にしようとしており、駅前を中心に医療、公共施設、地域包括ケア拠点の集積も進んだ。石巻を支えてきた母なる北上川を生かした「かわまちづくり」を進め、石ノ森萬画館との相乗効果で交流人口拡大への効果も上がってきた。蛇田は被災した市民が安全に居住できるよう整備したが、大型店の立地も含めて大きな経済圏として進んでいくのでないか。

 ―医療の連携体制構築や、住み慣れた地域で介護が受けられる環境の整備を訴えてきたが、その成果は。

市長 夜間急患センターを石巻赤十字病院敷地に設置できたのは大きい。医学部関連施設誘致を進め、市立病院に東北医科薬科大学のサテライトセンターを開設することができたのは今後に期待が持てる。産婦人科・小児科誘致の必要は認めるが、医師の確保が難しい。地域包括ケアは体制が整いつつあり、どこに住んでいても医療、福祉に不安のない生活ができてきていると思う。

 ―この1年の所信は。この1年の所信は。

市長 あと1年で辞めるという意識で政治に当たるわけにはいかないので、続ける意気込みで復興事業の完遂に積極果敢に取り組む。


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