【続報】石巻市で初の感染確認 東京観光後に女性2人 濃厚接触者 調査中
県は3日、石巻市内に住む20代女性会社員と50代女性アルバイトが新型コロナウイルスに感染したと発表した。市内の感染者の確認は初めて。いずれも県内の感染症指定医療機関に入院したが、重篤な状態ではなく、県が濃厚接触者の有無を調査している。これを受けて石巻市は同日、臨時の対策本部会議を開催。健康相談窓口を土日・祝日も開設することを決めた一方、社会・経済活動と感染拡大防止の両立を図る国の方針に合わせ、現状では改めて学校の臨時休校や公共施設の臨時休館措置などを行わないこと決めた。【山口紘史、熊谷利勝】
県の発表によると2人は知人同士で、6月27―28日に観光目的で東京都を訪問していたという。20代女性は6月30日にせきと38度台の発熱の症状が現れ、7月2日に帰国者・接触者外来を受診し、検査で陽性と分かった。一方、50代女性は1日に38度台の発熱と体のだるさを訴えて2日に同外来を受診し、翌日に陽性が判明した。
2人とも発症前2週間の海外渡航歴はなく、感染症患者との明らかな接触は確認されていない。20代女性は29、30日に出勤したが、公共交通機関などは利用しておらず、同居家族以外の濃厚接触者は現在調査中。50代女性は29日以降外出していないが、同じく濃厚接触者の有無は調査中という。
今回の判明で県内感染者は累計97人。県は誰でもかかる可能性があるとして風邪症状がある時の外出自粛などを呼び掛ける一方、感染者に対する差別や誹謗(ひぼう)中傷につながる行動を自重するよう求めている。
県は陽性者の勤務先を公表していないが、イオンモール石巻は専門店街に入店する「ヘアサロンシックアムール」の従業員が陽性となったことをホームページで公表。3日の閉館後に館内消毒を実施した上で、4日以降は当面営業を休止する同店を除いて通常営業することを告知している。
健康相談窓口を延長
石巻市は、県の発表と同時の3日午後4時、防災行政無線で市民の感染が確認されたことを周知した。同5時には亀山紘市長を本部長とする幹部職員の対策本部会議を開き、当面の対応を協議した。
電話を主にした健康相談窓口は本庁舎での平日の開設時間を2時間延長し、午前8時半から午後7時まで受け付け。土日・祝日は午前9時―午後5時に開設する。
また、市民の感染が確認されたものの、現時点で施設休館やイベントの中止要請などはしないことも決定。しかし亀山市長は、取材に対して「クラスター(感染者集団)が発生し、大きな患者数になれば国や県の対応に準じて判断していくことになる」と語り、状況を注視していくことにした。
「ついに来た」高まる緊張
市民の声・冷静に対応を 近隣市町も気引き締め
緊急事態宣言が解除され、学校も再開するなど日常が戻りつつある中、石巻市内で初めて感染者が確認された。3日には防災無線で広く周知され、緊張感が一気に高まった。【山口紘史、近江瞬】
石巻市中央で飲食店を営む男性(35)は「『ついに来たか』という気持ち。ようやく客足が戻ってきたが、また一気に苦しい日々に逆戻りするのではないか。実際、昨夜の人通りはほとんどなかった。今まで通り対策を講じて営業するしかない」と胸の内を語る。
感染者2人の東京観光については「不用心だったかもしれないが、経済を回すことは必要。東京と行き来する人は他にもたくさんいる中で、2人だけを責めることはできない」と話した。
2人の子どもを持つ母親(46)は「今までは親子で買い物もしていたが、これからは不安が強い。次男は中総体の代替大会が控えているが、これで開催できるかどうか分からなくなった。中学校からの通知で、きょうから部活動自体が中止になった」と吐露した。
また、市内の男性高校教諭(30)は「帰りのホームルームで生徒たちに告げたら想像以上に動揺し、『電車に乗りたくない』『部活は休みにしてほしい』といった声も聞かれた」と話す。今後については「休校判断などの明確な基準はなく、子どもたちに先のことを示すことができないもどかしさがある」と語った。
近隣の市町にも動揺は広がり、東松島市の観光に携わる復興まちづくり推進員の男性(52)は「観光客は徐々に戻りつつあるものの、今後の地域の感染状況でどうなるかは分からない。いずれにしても感染をこれ以上広げないよう、冷静に対応する必要がある」と気を引き締めていた。
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