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「サン・ファン号」を救え

解体中止求め1万人署名へ

 老朽化により、4月以降の解体が決まっている県慶長使節船ミュージアム(サン・ファン館)=石巻市渡波=の復元船サン・ファン・バウティスタ号を巡り、国内外の10団体が保存を求めるネットワークを結成した。復元船の公開が終了する3月末までに1万人を目標にした署名を集めて県に提出するほか、解体停止の法的手続きも準備。約400年前の使節団の偉業を伝える復元船を地域発展のための文化遺産、東日本大震災の地震、津波に耐えた復興のシンボルに位置付け、保存運動が世界的なうねりとなるよう多くの賛同を得ていく考えだ。【熊谷利勝】

国内外10団体が連携

 発足したのは「サン・ファン号保存を求める世界ネットワーク」(SAVEサンファン世界ネット)。仙台市のハポン・ハセクラ後援会(白田正樹会長)、石巻市のサン・ファン・バウティスタ号を保存する会(斎藤祐司副会長)、劇団「夢回帰船」出航プロジェクトを中心とし、スペインのハポン・ハセクラ協会やコリア・デル・リオ市などの賛同を得ているという。26日に県庁で記者会見し、結成経緯を説明した。

サンファン保存求めるネットワーク発足 (3)

会見した白田会長(中央右)や斎藤副会長(中央左)ら

 復元船は平成5年、県民の寄付金5億6千万円を含む17億円をかけて建造された。当初は50年持つとされたが、震災の影響もあって必要強度が不足し、県は現在の木造船のままの修復、保存を断念。維持費用面から後継船は4分の1サイズの繊維強化プラスチック(FRP)製とし、令和6年度の公開を目標に展示整備する。

 同ネットは後継船の計画にも疑問を持っており、白田会長は「失望し、怒りをもって受け止めている。さまざまな団体が反対してきたが、一つに集めて世界規模のネットワークにしようということになった」と説明。「意見を聞く場を設け、住民と一緒に納得した形で進めてほしい。保存も最大限努力したのか、改めて検討してほしい」と訴えた。

サンファン祭り2019 (118)

4月以降の解体が決まっているサン・ファン・バウティスタ号

法的手続きも視野

 昨年2月に保存する会で約3千人分の署名を提出した斎藤副会長は「原寸大でなければ分からない体験があり、まずは修繕を目指してほしい」と求めた。今後、インターネットや街頭などで解体中止を求める署名活動を展開。また、使節船造船にまつわる演劇作品の上演を3月6日に仙台市で、同13日に石巻市内で予定し、合わせてシンポジウムを企画する。同時に、目前に迫った解体を停止する仮処分を仙台地裁に申請する予定という。



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