見出し画像

雄勝の拠点2施設オープン 硯産業会館 観光物産館 コロナ禍で約1カ月遅れ

 東日本大震災で被災した石巻市雄勝町の地域拠点エリアに整備された「雄勝硯伝統産業会館」、「雄勝観光物産交流館」(愛称=おがつ・たなこや)の完成式が21日、現地で開かれた。新型コロナウイルスの影響で当初予定より約1カ月遅れのオープン。感染対策など求められる課題は多いが、震災から9年2カ月を過ぎた中、店主らはにぎわいの場の誕生に期待を込めた。【渡邊裕紀】

 拠点エリアは、震災の津波で被災した雄勝町中心部の県道沿いに整備。観光物産交流館は日用品を扱う店などがすでに営業し、この日は海産物の直売所やすし店などがオープンした。産業会館は今月末まで雄勝硯、雄勝石工芸品販売ギャラリーのみ運営し、常設展示室などは来月から開ける見込み。

 新型コロナ禍で完成式は関係者のみに限定し、産業会館、物産交流館でそれぞれテープカットを実施。亀山紘市長は「地域観光となりわいの拠点だけでなく市全体の活気につながる」とあいさつ。雄勝まちづくり協会の及川琢磨理事長も「地域のみなさんが住みやすい町、そして若い担い手が伝統を継承できる町になってほしい」と期待を込めた。

雄勝硯開館

テープカットで完成を祝った

 硯伝統産業会館(床面積1650平方メートル)は研修室や展示室、販売ギャラリーなどで構成し、硯の歴史が学べる展示ではさまざまな年代の硯約300点が並ぶ。一方、観光物産交流館(床面積1100平方メートル)は海産物直売所やすし店、飲食店など4店舗、土産品などを扱う4店舗、仙台銀行ATMが入る。

 仮設店舗を経て地域拠点エリアに移転した伝八寿しの加納竜司さん(50)は「区切りになり、とてもありがたい。新型コロナで先行きは不安だが、いかに観光客を呼び込み、活気につなげるかが課題だ」と語った。6月に喫茶店を開く鈴木拓也さん(34)は「雄勝で仕事ができることがうれしい」と喜び、新しい施設と共に一歩を踏み出す。

 拠点エリア(愛称=硯上の里・おがつ)には災害復旧で総合支所や体育館、艇庫が整備され、この一帯は「道の駅」認定に向けて国との協議が進む。市では全ての工事が完了する来年3月に周辺全体の完成式典を行う考えだ。


現在、石巻Days(石巻日日新聞)では掲載記事を原則無料で公開しています。正確な情報が、新型コロナウイルス感染拡大への対応に役立ち、地域の皆さんが少しでも早く、日常生活を取り戻していくことを願っております。



最後まで記事をお読みいただき、ありがとうございました。皆様から頂くサポートは、さらなる有益なコンテンツの作成に役立たせていきます。引き続き、石巻日日新聞社のコンテンツをお楽しみください。