見出し画像

「政治参加」③対応 成功体験の積み重ね

 自分たちの声を政治に届けたい。そんな思いから石巻市議選を前にした4月30日、中高生や大学生、保護者、子ども・子育て支援に関わる人ら15人が市子どもセンターらいつに集まり、立候補者に対する意見書の作成に取り組んだ=写真=。

 意見書の作成は、「子ども子育てにやさしいまち」をテーマとしたワークショップ形式。複数のテーブルに分かれ、石巻で暮らしていて困っていること、気になっていることなどを出し合った。その後、市政運営の指針となる第2次総合計画を確認。興味のある施策分野ごとにグループを組み直し、意見書に盛り込みたいことを模造紙に書き出した。

 完成した意見書は全5項目。不登校問題や身近な地域での子どもの居場所づくり、防災教育、学校と地域の協働に加え、子ども・若者がまちづくりや選挙に関心を持って共に参画する仕組みを求めた。

 その背景には「議員が子どもや若者の意見を直接聞いたり、現場を見てくれたりしていないと感じる」「選挙の争点が高齢者向けになっていて、自分たちの声を聞いてもらえている感じがしない」との声。子どもと大人が対等に話せる場や、子ども・若者の声を実現させる体制の必要性を訴えた。選挙で子ども・子育て支援を政策に掲げる候補者は多いが、具体性に乏しい。

 意見書は立候補者全員に送付し、フェイスブックでも公開。何人かの立候補者から反応があり、意見書への考えをSNSで表明した人もいた。当初は投票先を決める基準になるよう、公開質問状として回答を求める計画だったが、政治的中立性を保つため見送った。

 主催はらいつの指定管理団体の一つであるNPO法人子どもにやさしいまちづくり。参加することで、社会への貢献や選挙への関心を高めた高校生もいた。市議選では関心の低いとされる若い世代や子育て世代の投票率が4年前よりわずかに伸び、代表の吉川恭平さん(33)は一定の手ごたえをつかんだ。

 らいつでは子どもの視点で地域の魅力や課題を考える「子どもまちづくりクラブ」の活動もあり、意見・提言を直接、市長に届けている。吉川さんは「子どもの時からまちに関わること、投票して変わっていく成功経験を積み重ねることが必要ではないか」と話した。【熊谷利勝】




最後まで記事をお読みいただき、ありがとうございました。皆様から頂くサポートは、さらなる有益なコンテンツの作成に役立たせていきます。引き続き、石巻日日新聞社のコンテンツをお楽しみください。