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「堤防と水辺空間」③対応 楽しみ方は工夫次第

 「石巻かわまちオープンパーク」と呼ばれ、親しまれる中央の堤防一体空間では、市から運営委託を受ける㈱街づくりまんぼうを中心に、人を呼び込むさまざまなイベントや仕掛けが繰り広げられている。このご時世ではコロナ感染対策を講じた上で、が前提となる。

 昨年10月には、地域内外のバンド6組が集まり、河川堤防の上で演奏を繰り広げる「わいわい音楽会」を実施。来場者はもちろん、出演者も「こんなに良いロケーションで演奏ができて最高」と満足気に語っていた。いしのまき元気市場やかわまち交流センター前には、石巻観光協会と交流のある東京都調布市、山形県米沢市の特産品や軽食販売も設け、音楽と食の相乗効果で市民や観光客を楽しませた。

釣った魚をその場で天ぷらにして食す催しは大盛況

 同月あった「釣った魚を天ぷらにして食べよう」と題したイベントは、名称通り、旧北上川で釣り上げたハゼなどをプロ調理師がその場で天ぷらにし、食べて楽しむという、川湊石巻の特長を生かした遊び心ある企画。かつてこの地では釣った魚を行きつけの料亭に持参し、天ぷらにして食べたという文化があり、それに習って呉服店㈱京屋=中央=の奥村恵英社長がイベント化を発案したという。

 結果、貸し竿の待ち時間が出るなど予想を上回る人出となり、仙台圏域からも親子が足を運ぶなど、にぎわい創出の可能性を感じさせた。

 石ノ森萬画館をスクリーンにした野外映画上映会は発想の勝利だ。親子が堤防沿いに腰掛け、涼しい夜風を浴びながら映画を楽しむ。屋外ゆえ感染対策もしやすいという点も素晴らしいが、何より既存施設をうまく活用していることを賞賛したい。

 新設の堤防空間に加え、元から石巻にある資源をどう使い、にぎわいを創出していけるかが鍵であり、時に型破りな発想も必要。市民それぞれが持つ知識やノウハウ、つながりを生かせば、こうした催しを数多く打ち出していけるはず。

 まずは観光客やあまり外出しない人に「何となく中央に足を運んだら楽しそうなことをやっていた」と思わせることができれば上々。まずはまちなかに興味を持ち、堤防空間に足を運んでもらうことが第一であり、コロナ禍でも工夫次第でできることはたくさんある。【山口紘史】



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