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「新規就農と施設園芸」 ②現状 受け継がれる農業

 高齢化などで農業者の減少が続く中、逆にチャンスと捉えて飛び込む若者もいる。
 
 一般社団法人イシノマキ・ファームの石牧紘汰さん(28)は、今年から石巻市北上町の畑でカボチャの栽培を始めた。元々農業に興味があり、平成31年に横浜市から移住。土地を借りて一歩を踏み出した。
 都市部から農村に移住し、農業を始めるモデル作りも兼ねており、2月に定植したカボチャは7月に収穫を迎えた。石牧さんは「自ら挑戦することで得られるものも大きい。今年は4月末の降雪や大雨でなかなか思うように育てられなかった」と話す。

 まだ1年目で経験は圧倒的に足りず、安定した収益には程遠い状況だが、石牧さんは笑顔だ。地域の人たちとのつながりも深く、先輩農家から教わることも多いという。何より石牧さん自身が「農業が好きだから」と強い思いを持つところも大きい。

 これから2年、3年と続けていく中でノウハウが蓄積され、いずれは安定した収量がとれるようになる。それまでの時間を楽しみながら、石牧さんは豊かな恵みを与えてくれる自然と対話している。
 東松島市でも、転職して新たに農業を始めた若者たちがいる。同市矢本で長ネギ作りを始めた半澤颯人さん(28)、角張智一さん(同)の2人だ。それぞれ約30㌃の土地で昨年1月に就農した。

 半澤さんは関東で仕事をしていたが、コロナ禍をきっかけに地元に帰郷。祖父が元々農家で、残っている農地を有効利用したいと就農を決めた。角張さんも地元の製鉄所で働いていたが、昔なじみの半澤さんが就農する話を聞き、ともに協力してネギの栽培に挑戦することを決意した。

カボチャ栽培に挑戦する石牧さん

 JAやもと長葱(ねぎ)生産組合に所属し、先輩農家からさまざまなアドバイスを受けながら技術の習得を目指している。矢本地区は砂地で水はけも良く、長ネギの栽培には適しているという。収穫期はかなりの多忙になるが、半澤さんは「自分でスケジュールを管理して、ある程度の自由が利く。人間関係のストレスが少ないのも魅力」と話す。角張さんも「やってみると楽しい仕事。就農に後悔はない」と前向きだ。

 長ネギで安定した収入を得るには、50―60アールまで面積を拡大していく必要がある。2人はアスパラの試験栽培なども行い、農業者としての道を歩み出している。


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