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超難関 英検1級2度合格 「挑戦に年齢関係ない」

 女川町竹浦の鈴木成夫さん(74)が実用英語検定試験(英検)1級を受験し、約30年ぶりに2度目の合格を果たした。英検1級はちまたで〝超難関〟と呼び声の高い試験。元石巻市職員の鈴木さんに留学経験はなく、NHKのラジオ英語講座を長年愛聴し、独学で英語力を磨いてきた。「こんなおじいさんでもやればできる。可能性は無限大だと、地域の子どもたちにも示せたと思う」と充実感をにじませた。

 鈴木さんは昔から英語が好きで、中学時代からラジオ講座を聴講。英会話教室に通ったことはなく、講座で日常会話や読み書きを学んだ。市役所勤務で英語を使う機会は少なかったが、教育委員会配置時にALT(外国語指導助手)との交流で言語力に一層、磨きがかかったという。退職した現在は、外国語指導補助として万石浦小学校で児童の英語学習を支援している。

 そんな鈴木さんが挑んだのは国内で受験できる英語試験の中で最難関と言われる英検1級。「息子の勉強のやる気向上のために自分の学ぶ姿を見せようと40代の頃に初挑戦し、合格できた。もうすぐ後期高齢者となるが、その前に、児童たちに何かに挑戦する大切さを伝えようと2度目に挑んだ」という。

30年ぶり2度目の英検1級合格を果たした鈴木さん

 一次試験は筆記とリスニング、二次の面接は自由会話とお題に沿ったスピーチが課される。特に面接は、政治経済や国際情勢などの一般教養が無ければ対応できない問いが多い。

 「英字新聞をすらすら読み理解できるレベルの速読速解力は必須だが、それだけでは不十分。総合力が試される。母国語を話す人との面接は、自分の人生の知識や教養、生き方全てが試された」と鈴木さん。「2度目の合格を果たせたが、久々に脳細胞を振り絞り、総動員した。心地よい疲労感」と振り返った。

 合格証を眺める鈴木さんは「学ぶことを止めたら、そこから人は老いていく。挑戦に年齢は関係ない。今後も山登りを楽しむかのように〝英語の森〟をさまようことを楽しみたい。夏休み明け、万石浦小の児童たちに少しだけ自慢しようかな」と笑った。

 英語力を高めるコツは「語彙(ごい)を増やし、いろんな文法や言い回しを覚えること。この土台をしっかり作った上で表現力を磨いてほしい。勉強法はさまざまだが、ライティング(書くこと)を勧めたい」と話した。

 鈴木さんは毎週水曜午後6時半から石巻市労働会館=同市泉町=で、住民とALTの交流学習会を開いている。「英語を学びたい人は誰でも歓迎。見学に来てほしい」と呼び掛けていた。問合せは鈴木さん(090-7334-6257)。【山口紘史】





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