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震災の記憶と記録いつまでも 南浜復興祈念公園が開園 広場で献花 海に黙とう

 東日本大震災の犠牲者を追悼し、災害の記憶と教訓を伝える「石巻南浜津波復興祈念公園」が28日、開園を迎えた。被災3県で整備されている国営追悼・祈念施設を備えた復興祈念公園のうち、全面供用開始は宮城県が初。新型コロナウイルスの感染拡大による県独自の緊急事態宣言下に伴い、この日は式典を取りやめ、展示施設の「みやぎ東日本大震災津波伝承館」も同宣言明けまで開館は見送った。一般開放された公園内では「祈りの場」で市民が献花し、周辺を散策する姿も見られた。【横井康彦】

南浜復興祈念公園開園  (2)

 築山からは公園内を一望できる

 同公園は震災前までは約4700人が生活していた市街地の跡を活用し、県と石巻市などが一体的に整備してきたもの。敷地面積約39ヘクタールで、被災3県で1カ所ずつの国営追悼・祈念施設である伝承館(延べ床約1300平方メートル)、人工池に面した追悼の広場南側に祈りの場として二日月形の献花台がある。近くには「一丁目の丘」と名付けられた海抜10メートルの築山のほか、湿地も整備した。園内には生活の記憶である街路網が一部再現され、建物の基礎などを遺構として展示している。

 この日は、午後1時半の開園前から市民が公園を一望できる築山に登り、園内を眺めた。同公園を管理する井上浩徳所長(57)の宣言で祈りの場に向かう園路が開放された。集まった市民が献花台に花を添え、海側に向かって手を合わせた。

 井上所長は「多くの方々が犠牲となった場所。その思いを引き続き持ちながら、市民の憩いの場、親しみやすい場所になるよう努力する」と意気込んだ。

南浜復興祈念公園開園  (1)

祈りの場で市民らが献花を行った

 園内で活動するがんばろう!石巻の会事務局長の黒澤健一さん(50)は「きれいな公園となったが、ここで生活し、変わっていく様を見てきたので、当時の記憶が思い出されて感慨深い」と語る。

 青葉東から母親と愛犬2匹を連れて散策に訪れた製造業の阿部俊介さん(36)は「密になることもない広さで、園路もしっかりしていて散策に良い。健康維持のためにも定期的に訪れたい」と話していた。

 開園時間は午前9時から午後5時(4月から午後6時)となる。


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