見出し画像

歴史が見える240枚 「石巻の絵葉書」出版 明治、大正、昭和の風景

 NPO法人石巻アーカイブ(小野寺豊代表理事)は、写真で歴史を振り返る「石巻の絵葉書(絵はがき)」を出版した。出典元の古い絵はがき約600枚をデジタル化し、その中から240枚を厳選して1冊にした。

 A4判カラー(写真はモノクロ中心)、60頁。明治、大正、昭和期に当時の写真館が撮影した施設、建物、教育、催事、災害、全景などが主。第1章の「遠景・全景」から第8章の「災害」まで項目別に掲載している。

 落成、開校など記念はがき以外は、数年かけて売るという流れがあり、発行年が記載されていない絵はがきが大半。消印から読み取れるほかは正確な時代特定が難しいが、アーカイブでは宛名面にある私信欄の違いに着目し、大まかな年代を推定した。

デジタル化した600枚から240枚を厳選

 石巻全景は昭和9年以降の撮影とされ、旧北上川河口から住吉公園までの街並みを4枚の写真で表現。明治39年以前に日和山から市街地を望んだ写真は中瀬がはっきりと写されており、今も昔も風景が変わらないことが分かる。

 大正年代の仲町通は現在のいしのまき元気いちば前の道路。2階建ての石巻警察署、火の見やぐらなどが確認できる。催事では、大正10年ごろの石巻川開き祭りは水上行事の様子を描写、災害は大正2年8月の暴風雨と高潮で石巻町の半分が浸水し、各地で被害が続出。当時の被災写真も生々しい。

 絵はがきは1枚ずつデジタル化し、タイトルを付けて整理していくことから始め、写真の年代特定の裏付け調査に時間を要した。小野寺代表理事は「会員の皆さんの協力で完成を迎えられた。研究の途中で正確性に欠ける点もあると思うが、これをベースに新たな調査研究が進むことを願いたい」と語った。

 「石巻の絵葉書」は1千部作製し、1冊税込み1800円。ヤマト屋書店石巻あけぼの店、同石巻中里店、金港堂石巻店、未来屋書店石巻店、おかべ本屋さん、ブックセンター湘南矢本店、かほく書店で取り扱っている。
【外処健一】





最後まで記事をお読みいただき、ありがとうございました。皆様から頂くサポートは、さらなる有益なコンテンツの作成に役立たせていきます。引き続き、石巻日日新聞社のコンテンツをお楽しみください。