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石巻・まちなか鮮魚店 プロショップまるか31日閉店

佐々木社長「最後までいい魚を」

 石巻市中央一丁目で多くの市民に愛されてきた鮮魚店「プロショップまるか」が31日で閉店する。長引くコロナ禍による売り上げ減少や佐々木正彦社長(69)が自らの体力を考慮して決断した。東日本大震災を乗り越えてきたが、惜しまれつつ約50年の歴史に幕を降ろす。

 「残念だね」。現在の心境を明かした佐々木社長。閉店を決めたのは、3月に入ってからという。1年ほど前から後継者に店を引き継ぐ計画を進めていたが、コロナ禍による大幅な売り上げ減少が課題となっていた。

 「まるか」は、市内でもとびきり新鮮な魚の小売りで知られ、最盛期にはすし店、料理店など取引先は200軒以上あったが、それが10分の1ほどに減ってしまった。取引先の後継者不足、高齢で店をたたむなど時代の流れに逆らえなかった。

プロショップまるかの外観

 11年前の震災では大型冷蔵庫が倒れ、天井が破れて泥まみれになった店内を見て「やめよう」(佐々木社長)と覚悟したこともあった。しかし、ボランティアの支援もあり、2カ月後に復活。周辺の飲食店に敷地を提供して「名店街」を運営、周辺住民を勇気づけた。

 佐々木社長は、石巻高校時代の同級生の母親が営んでいた「まるか」をたびたび手伝いに訪れ、大学卒業後、誘われるまま「まるか」に就職。同級生の姉と結婚して店を引き継いだ。

 今は閉店に伴うさまざまな手続きで多忙な毎日。何をおいても「いい魚を出すこと」を心掛けてきた50年。トラフグ、太刀魚、アンコウなどそれまで石巻ではあまり食べられていなかった魚も並べ、食文化に貢献してきた。

陳列ケースを整理する佐々木社長

 「昔はここから半径100メートル以内に5、6軒の魚屋があったんだけどなぁ。お宅が閉まったらどこに買いに行けばいいのと言われるのがつらい」と佐々木社長。40歳ごろから2日に1回、透析治療を受けており、体力的には潮時との判断も閉店につながった。

 40年以上通っており、28日も訪れた山沢寿美さん(68)=同市中里=は「魚は魚屋で買いなさいと母親に教わったので、ずっとここで買い物をしてきた。カニとかシャコとかいつも新鮮でいいものがあって、子どもたちも喜んで食べて育った。こういう魚屋さんがなくなるのは寂しい」と話した。

 31日は特別なことはせず、普段通りに営業して店を閉めるという。【本庄雅之】





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