見出し画像

「政治参加」 ④展望 家庭や学校の教育重要に

 石巻市で最も投票率が高い年齢層は65―69歳。義理堅いこの世代も、高齢化に伴って投票所に足を運ぶのがおっくうになったり、選挙そのものへの興味も薄れてきたりする。当然、若い世代が政治やまちづくりの中心を担っていかなければならないが、下の年齢層ほど投票率が低い。国や社会、地域の課題を自分ごとに考え、政治に参画していけるための教育が重要になる。

 高校では4月から、公民科の「公共」が必修化。「現代社会」に代わる新科目であり、法や政治、経済といった幅広いテーマについて、単に知識を暗記するのではなく生徒が社会とどうかかわるべきかを主体的に考える。

 18歳選挙権や成人年齢引き下げが背景。これにより、どう高校生の意識が変わるのか、注目されるところだ。答えのない科目であり、授業の進め方は学校ごとというより、教員で異なるようだ。

 若い世代が関心を持つには、大人や家庭の関わりが大事。実際に以前、選挙啓発に携わる学生からは、家族で話題にしたり、学校で特別授業を受けたりして「みんな投票にいくものだと思っていた」などの言葉を聞く。

 この連載開始後、議員経験者から「家庭も学校も普段からそれなりの政治について話をしなければ、あるいは政治を悪く言っていれば関心を持つことはできない」とのメールが寄せられた。また、「現場がこうなっているから予算をこう使おうとか、予算の使い方を検証した決算ではこうなったとか、税金の話も合わせてしておけば年金の大切さや健康の大切さを知ることができる」と提言した。

 税金でこんな事業をします、こういう理由だからこんなルール(条例)を作りますよと提案するのが市長。対して市民の利益、不利益などをただし、最終判断するのが議員、議会であり、予算が適正に使われているかのチェックも行う。

 議員は有権者に選ばれた市民の代表なのだから、市民に身近な存在であり、市政への多様な意見の反映が欠かせない。市民にとっても自分が払った金の使い道がどうなのかは、本来、無関心でいられないはずだ。しかし、選挙での投票率は2人に1人ほど。ある議員は「われわれにも責任がある」と自覚する。

 先の市議選で立候補者に身近な議会への方策を尋ねたところ、情報発信や地域に出向いての対話などが挙げられた。それぞれ答えを持っており、あとは実行するか、それともしないかだ。【熊谷利勝】




最後まで記事をお読みいただき、ありがとうございました。皆様から頂くサポートは、さらなる有益なコンテンツの作成に役立たせていきます。引き続き、石巻日日新聞社のコンテンツをお楽しみください。