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記憶の中の石巻

展示会と写真集出版
竹内敏恭さん 震災前に撮影


 東日本大震災前の石巻市内の風景を撮影した多数のモノクロ写真が、石巻市橋通りのホシノボックスピア内「人とアーカイブの交差点」で展示されている。入場無料。11月6日まで。主催のNPO法人石巻アーカイブ(小野寺豊代表理事)は、これらを掲載した写真集「震災前の石巻2002―2011」を9月1日に発売する。

今は見ることができない風景が並ぶ

 撮影したのは東京都在住のアマチュアカメラマン、竹内敏恭さん。2002年(平成14年、以下西暦表記)から妻の実家がある石巻市を訪れるたびにスナップ写真を撮り、震災発生の10日前も市内でシャッターを切った。10年間撮りためた写真やデータ、ネガの寄贈を受けて石巻アーカイブが展示と出版を企画した。
 展示会場には、かつての中央・中瀬、門脇、湊地区の風景写真135点が並ぶ。多数の商店が隣り合う橋通り(02年)や由利徹、三波春夫ら「思い出五人衆」の看板が目を引いた岡田劇場(同)、北上川の水面すれすれに建つ八幡町の住宅群(06年)、門脇町の中華料理店「新華楼」交差点(10年)をはじめ、現在はなくなった景色がほとんどだ。掲示した10年当時の市内住宅地図と写真番号と符号すれば撮影場所が分かるようになっている。
 竹内さんの作品に加えて、震災前まで湊に住んでいた及川恭男さん=仙台市在住=が撮影した平成初期の石巻風景(カラー)も19点展示している。
 来場した石巻市向陽町の60代女性は「震災がなかったら、写真の風景はずっと続いていたのだろう。懐かしさとともに震災の残酷さを感じた。改めて、今もこうして普通に生活していることのありがたさを味わうことができた」と感慨深げだった。同展は金・土・日・月曜の午前10時―午後5時。

モノクロ写真でよみがえる

モノクロの写真が懐かしさを深める

 一方、9月1日に発売となる写真集はA4判80㌻で全編モノクロ。展示作品を網羅した。税込み1500円。石巻地方の取扱店は、未来屋書店、ヤマト屋書店中里店・あけぼの店、金港堂石巻店、おかべ本屋さん、BC湘南矢本店、かほく書店、石巻観光協会、石巻ニューゼ。
 なお、石巻アーカイブは9月2日午後3時からかわまち交流センターで、竹内さんのトークショーを行う。入場無料。
【平井美智子】



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