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「住民理解の具体策見えない」 議会から厳しい意見 須江のバイオマス発電計画

 住民の反対運動が起こっている石巻市須江地区の液体バイオマス発電所計画を巡り、事業者の(株)G―Bⅰoイニシアティブ(柳沼紀之社長)=東京都千代田区=は15日までに、市議会議員に事業概要を説明した。住民の反対意見と同様、市議からも大気汚染の程度や燃料を運ぶ大型車両の通行安全性の懸念の声が相次ぎ、「道路整備などが行政任せ過ぎる」「住民理解を得ることへの具体的な取り組みが見えない」と会社側の姿勢を厳しく批判した。【山口紘史】

都内事業者が説明

 発電所の計画地は住宅地や学校が近く、稼働後の大気汚染や騒音振動、大型車両による登下校時の事故などを懸念する住民が建設に反対している。市議会は住民から建設を推進しないよう要望書が出されていることから、事業者の説明を要求。説明会は9日、市防災センターと同社本社をオンラインの映像でつないで行われ、市議会(定数30人)からは正副議長を含む18人、同社からは柳沼社長など役員らが出席した。

 同社の事業説明担当は、液体バイオマス発電の安全性や経済効果を強調。燃料輸送時の交通安全対策として、登下校時間を避けることなどを示し、道路が狭い現状については「地元関係者と共に県や市に改善を求めていきたい」とした。

 これに対して市議からは「市は『必要な道路整備は事業者でやってほしい』とのことだが」と指摘。別の市議は「住民から理解を得るにしても、課題解決へ事業者ができることをもっと考えるべきでは」と苦言を呈した。このほかにも「排気ガスは風向きによって蛇田の新市街地にも影響を与えるのではないか」、「説明はメリットの解説しかなく、住民から指摘された課題の具体的対策がない」といった指摘もあった。

 須江瓦山の山林約8ヘクタールで計画されている同事業は、内燃力発電という方式。海外から輸入した植物油を石巻港から現地までトレーラーで陸送し、10基のディーゼルエンジンを回して発電する。出力約102メガワット。令和4年2月頃の工事開始、7年8月頃の運転開始を目指している。

 事業者は建設前手続きの環境アセスメント(影響評価)中で、今月には石巻市と東松島市の住民を対象にした説明会を開催する予定。


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