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世界的奏者をも魅了 国際コンクール 高校打楽器の部1位 石巻好文館の星さん

 若手音楽家の登竜門の一つとされる「第23回長江杯国際音楽コンクール」の審査結果が21日に発表され、石巻好文館高校3年の星伊吹さん(18)が打楽器部門高校生の部で第1位に輝いた。星さんは幼少からピアノに打ち込み、中学2年生から木琴の一種であるマリンバに転向。将来は音楽家を志しており、コンクールでは5オクターブのマリンバを歌うように奏でる演奏が高く評価された。11月に都内で開かれる入賞者披露演奏会への出演を控え、星さんは「ライバルや先生、家族への感謝を込めて演奏したい」と語っている。【近江  瞬】

 同コンクールは中国音楽理事会主催。今年で23回を数え、録音による予選を通過した239組252人が、今月に東京と大阪の2会場であった本選で演奏した。

 星さんは石巻小、石巻中を経て、石巻好文館高に進んだ。3歳のころから音楽家の母親、由貴さん(50)の影響でピアノ教室に通い、中学では由貴さんの下でピアノを学びながら吹奏楽部では打楽器を担当。ピアノと同様に音階のある鍵盤打楽器を得意とした。

 中学2年のころ、祖母の邦子さん(80)からマリンバを贈られ、腕を磨いて第25回JBA全日本打楽器ソロコンテスト南東北大会では第2位、さらに同コンテスト全東北大会で銀賞を獲得。3年の時には、県打楽器ソロコンテスト金賞も受賞した。

石巻好文館高校3年星さんが長江杯国際コンクールで打楽器高校生の部日本一

初の国際コンクールで第1位に輝いた星さん

 一方、音楽家の母の存在は大きな壁としてあり続けた。「私がどれだけ努力しても到達できない」。いつしかこんなことも考え、中学卒業後は約1年間、音楽から距離を置いた。「私は音楽で食べていくわけじゃない」と言い聞かせた。

 それでも心に引っかかったままだった音楽の道。「最後に力を確かめたい」と昨年8月にあった、世界的打楽器奏者の池上英樹氏と塚越慎子氏のわずか定員5人のマスタークラス生に応募。プロ奏者や音楽大学首席奏者らが選ばれる中、唯一高校生として起用され、指導を仰いだ。

 そこからは、両氏から掛けられた「人のまねではなく、自分の音と表現を見つけなさい」との言葉を胸に練習に励んだ。昨年末からは塚越氏に直談判し、関東に赴いて個別指導も受けてきた。

 こうして臨んだ初の国際コンクールは、録音による予選で「カリタス第2楽章」「同第3楽章」を演奏。本選では世界マリンバ界の巨匠である安倍圭子氏作曲の「わらべ歌による譚賞」を奏でた。ピアノで培った和音の響きや歌うように奏でる演奏で最高の結果をつかんだ。

将来は音楽家に

 星さんは「初の国際コンクールで結果を残すことができたのも多くの方々の応援のおかげ」と感謝。今後は音楽大学への進学を目指し、将来は「自分の音や表現を見つけ、成果が自分の努力として認められるようになりたい。いつか先生方とステージの上で共演できたら」と見据えていた。


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