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「石巻第九」12年ぶり復活

市内外100人出演

総勢100人が壮大な第九を奏でた

 石巻地方を中心とした市民合唱・交響楽団による演奏会「第一回復活の石巻第九」が26日、マルホンまきあーとテラス大ホールで開かれた。第九公演は、平成23年2月に旧石巻市民会館で開かれた「第九で手をつなごう公演」以来12年ぶり。芸術文化を通じた心の復興に向け、総勢約100人がベートーベン交響曲第9番を披露し、聴衆が立ち上がって成果をたたえた。

力強い歌声を響かせた

聴衆立ち上がって拍手 震災、コロナ乗り越え

 震災前の公演は1市6町の合併5周年を記念したもの。開催翌月に東日本大震災が発生し、芸術文化活動の拠点施設も被害を受けた。ハード面の復興に見通しが立ち始めた令和2年以降は、新型コロナウイルスの感染拡大でプロ、アマ問わず、オーケストラや合唱など地域の文化活動に再び影響が生じた。

美しい歌声を響かせた第九合唱団

 そうした中、3年8月15日に芸術文化振興の新たな拠点としてまきあーとテラスが完成し、石巻復興記念特別演奏会が開かれた。「一度きりの演奏会だけでは元気を届けきれない」と、石巻市にとって特別な曲である第九公演を復活させるため、木材輸入業の㈱林田順平商店(林田元宏社長)=大阪府=らで実行委を発足。地域内外から歌い手や奏者を募り練習してきた。

地元縁のソリスト達

 迎えた本番では満席の大ホールで、70分間第九のみを休憩なしで演奏。ソリストは地元出身または在住の渡邉公威さん、千葉昌哉さん、三浦梓さん、阿部奈緒さん。市内外から募った合唱団も加わり、約20分間壮大な歌声を届け、聴衆は立ち上がって惜しみない拍手を送った。

最高の歌声と演奏に、立ち上がって拍手

 部活メンバーと訪れた女川中学校吹奏楽部1年の紺野咲季さんは「自分たちではできないすごい演奏。少しでも近づけるようになりたい」と刺激を受けていた。

 震災前の第九公演にも出演した石巻市民交響楽団の足立岳志さん(63)は「復興完結式を経て、このタイミングで再び演奏できるとは。やはり第九は特別な曲。演奏を聞いて一緒に歌いたい、演奏したいという若い世代が生まれ、受け継がれていけば」と願った。

 来年11月24日に「発展の第九第2回石巻第九~継続こそ力なり」が決定し、12月15日まで合唱団員を募集している。問合せは実行委(080―8546―5223)。【横井康彦】


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