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C・W・ニコルさん逝去 東松島の里山 再生に尽力 復興大使担い心のケアも

 英国ウェールズ出身の作家で環境保護活動家として知られ、東松島市のふるさと復興大使を務めるC・W・ニコルさんが3日、直腸がんのため、長野県の病院で亡くなった。79歳だった。ニコルさんは東日本大震災後から子どもたちの心のケアに取り組み、同市での森づくりに力を注いできた。【横井康彦】

 ニコルさんは17歳でカナダに渡り、海洋哺乳類の調査研究にあたり、昭和37年には空手を学ぶため日本に初来日している。同55年に長野県に拠点を構え、小説家、環境保護活動家としての活動を本格化。平成7年には日本国籍を取得し、一般財団法人C・W・ニコル・アファンの森財団の理事長などを務め、全国で森や里山の再生活動に尽力した。

アファンの森 サウンドシェルター (46)

野蒜地区の復興の森整備にも尽力したニコルさん

 震災後は、同市の子どもたちを長野県に招き、自然体験を通じた心のケアにあたり、24年7月には同市とアファンの森財団で協定を結び、環境教育、自然の再生を目的に野蒜地区の復興の森にツリーハウスや「うまのひづめ展望デッキ」を設置。26年10月にはふるさと復興大使の委嘱を受け、野蒜洲崎地区での湿地再生プロジェクトにも助言していた。

 渥美巖市長は6日までに、ニコルさんの妻に弔辞を送付。「東松島市の海産物を好み、気さくな人だった。ニコルさんの助言をいただき、湿地再生に向けた事業を進めていた最中であり、完成を共にしたかった。ニコルさんの意思をつなぎ、地域の自然を残していきたい」と語っていた。

 昨年末には野蒜地区での環境フォーラムを共にした野蒜まちづくり協議会の菅原節郎会長(69)は、「精神的支柱を失ったような思いだ。ニコルさんの思いをしっかりと受け継いでいきたい」と語っていた。

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