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橋桁の組み立て始まる 女川町・出島架橋 令和6年12月開通予定

 女川町で22日、本土と離島の出島(いずしま)をつなぐ「出島架橋」の本体建設に向けた組み立て工事が始まり、製造先の三重県津市から橋桁部分を載せた運搬船の第一便が入港した。出島架橋は長さ364メートルのアーチ橋。町は県の技術協力を受け、平成29年3月に事業着手しており、令和6年12月の開通を目指している。

離島と本土つなぐアーチ

 津市の工場で製造された橋桁の一部(約600トン)は大型運搬船に載せられ、午前9時に入港。女川港石浜岸壁に接岸された。橋桁の部材は計4回に分けて運ばれ、陸上で橋を組み立てた後、海上輸送して架け、町道とつなぐ。

橋桁の一部を乗せた運搬船が入港した

 須田善明町長は「まずでかい。大きさに驚いた。陸上で地組作業が始まれば橋のスケールが見えてくる。安全に進めてほしい。町にとって宿願であり、出島の生活環境の利便性が高まるほか、防災や観光面でも期待されている。橋が出来ても島の文化は守っていきたい」と話していた。

 出島は女川港北部の尾浦半島から約300メートル東方にある離島。出島、寺間の2つの集落で成り、東日本大震災の影響や高齢化などで人口は約90人。架橋は生活環境や防災、観光面からも改善、発展が期待されている。

 出島架橋は当初、本年度末の完成を見込んでいたが、資材や人件費の高騰に伴う工程変更で完成、開通時期は約2年ずれ込んだ。事業費は約167億円で3分の2は国の交付金を充てる。橋につながる町道部分(延長2556㍍)はほぼ完成している。

 現在は女川港から1日3便の離島航路が出ているが、完成後は町中心部から橋とトンネルを経由して車で行くことができる。架橋によって島の生活環境が向上するほか、東北電力女川原子力発電所で重大事故が発生した場合、橋は避難道路の役目も担う。【外処健一】


◇取材余話◇
町長行きまーす! ガンダム愛熱く

 ガンダムを語らせたら女川町の須田善明町長(50)の右に出る県内首長はいないだろう。出島架橋の橋桁を載せた運搬船が女川港に見えるや「色や形にしてガンダム、いやペガサス級か」と興奮気味に声を弾ませた。

 ガンダムは1979年から放映された日本サンライズのロボットアニメ。須田町長はまさに初代ガンダムの世代であり、ガンダムを搭載する強襲揚陸艦ホワイトベースを艦種総称のペガサス級と例えるあたりもにくい。

 別作品に出てくるガンダムの追加装備に見えたのか、橋桁の突起物を見上げて「V(ビクトリー)ガンダムのようだな」とも。走行用ベルトが付いた大型クレーンを示し、「あすからはガンタンクで陸揚げだね」と最後までガンダム愛をかぶせた。

 「等身大ガンダムを女川に置きたくてサンライズに直談判したこともあったが、『全国からそうした話がありまして…』と役員さんから丁重にね」と苦笑いも浮かべた。(ト)




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