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地域の夏祭り軒並み中止 飲食持ち帰りや代替行事 開催可能も慎重な対応

 新型コロナウイルス感染症への不安から地域の夏祭りの中止が相次ぐ。県は来場者が特定地域に限られるような夏祭りは感染防止策を講じた上で開催できるとしているが、主催する町内会や自治会は万が一の影響を考えて慎重に判断しているようだ。こうした中、出し物をやめて持ち帰り用食べ物を配布する内容にした地域があるほか、祭りの代わりとなる子ども向け行事を開くなど工夫している。【熊谷利勝】

町内会、自治会は四苦八苦

 約50世帯ある石巻市北村の箱清水地区では今月1日、地区の老人憩いの家でイベントを開催。提灯が下げられた会場は祭りの雰囲気が漂うが、やぐらやステージはない。

 密閉・密集・密接の3密回避で、例年のカラオケや音楽ライブ、よさこい踊りといった演目は中止。代わりに先着来場順にカップラーメン1箱などが当たる抽選があったほか、焼きそばや焼き鳥、唐揚げ、ポップコーン、蒸しホヤなど全世帯分の食べ物を用意した。その場で互いに距離を取って味わうこともできたが、持ち帰って自宅でおのおの楽しんでもらう計らいだ。催しの名は「夏まつり気分」だった。

 箱清水地区自治会青年部長でまつり実行委員長の今野輝さん(41)は「食べ物の持ち帰りの祭りであれば自宅で密にならずに楽しめる。毎年、楽しみにしている人がいるので、感染対策のルールを守りながら開催する方向で考えた」と話した。

箱清水夏祭り気分 (7)

出し物はなく、焼き鳥などを振る舞った箱清水の「夏まつり気分」

 一方、釜小学校近くの北北上運河沿いの広場で祭りを開いていた上大二町内会は、今年の中止を決定。町内の親睦、交流を目的としていたが、出店を中心に密になる傾向があり、難しいと判断した。東日本大震災のあった石巻地方では、夏祭りを新旧住民や新しい街に移り住んだ人同士の交流を深める機会としている地区も多い。

 石巻市の新市街地の一つ、のぞみ野地区も今年の盆祭り大会を見送った。開催の可否を判断した7月上旬はちょうど、市内で初の感染者が確認されたころ。賛否が分かれたものの、不安の声を無視できなかった。

 東松島市の新市街地であるあおい地区でも毎年、青森のねぶたを招待していたが、今年は「本家のねぶた祭りが中止になっている中で呼べないだろう」となった。

 今年は地域の盆踊りだけでなく、石巻川開き祭りや東松島夏祭りなど大規模な祭りも軒並み中止。のぞみ野もあおいも「祭りのない子どもたちに何か夏の思い出を」と小規模なイベントを催した。


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