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クジラ頭骨ガチャ誕生

おしかホエールランド 学芸員のこだわりを形に

 クジラの頭骨標本を精巧に再現した樹脂製のミニチュアフィギュアが、石巻市鮎川浜の「おしかホエールランド」で販売されている。全6種類1個500円で、カプセルトイとして扱われている。ホエールランドの学芸員、山本龍治さん(28)が頭骨からデータを作成し、3Dプリンタで一つ一つ作り上げている。ここだけのオリジナル品で、斬新な土産品として注目を集めている。

「ここにしかない面白いお土産にしたかった」と話す山本さん

 山本さんは大学生時代から標本のデジタル化に取り組み、同ランド所蔵の標本も3Dデータにしている。そこから展示物を作るために導入した3Dプリンタを使い、〝持ち帰れる標本〟としてカプセルトイに着想を得た。

 対象物の写真から3Dデータを作る「フォトグラメトリー」という技術を応用。頭骨1つをデータ化するのに撮影した写真は1千枚以上という。カプセルに収まるように全長は6・5㌢に統一。事前にSNSなどで販売を告知すると、フォロワーが急増するなど想像以上の反響があったという。

標本データから全6種

 頭骨フィギュアは鮎川に陸揚げされるミンククジラをはじめ、セミクジラ、ハッブスオウギハクジラ、マッコウクジラ、コククジラ、シャチの計6種類。台座付きで、通常の標本では見ることのできない裏側までくまなく観察できる。造形はこだわり3Dプリンタで再現できない部分は、山本さんが手作業で修正を加えているため、質は折り紙付き。11日に東京都で開かれた「鯨グッズフェア」では、準備した30個が20分で売り切れる人気となった。

 カプセルトイに付属する解説用紙もオリジナルで、組み立て方の図は全て学芸員で作り込んだ。山本さんは「同じクジラでも種類で骨格がまるで違う。楽しく学べるよう細部の造形にこだわった。これがきっかけで多くの人に興味を持ってもらえれば」と話していた。

 カプセルトイだけに製品を選ぶことはできない。同館には比較的大型の骨格標本が12点、部分的なものは数十点所蔵されており、頭骨フィギュアの反響があれば第2弾、第3弾とシリーズ化も検討していくという。
【渡邊裕紀】


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